ICカード&暗証番号認証付きスマートロックに注目

エンターテインメント 話題
ロックダイナミクスの「Bluetooth-ASCA」。「ドアからカギ穴を無くそう」というコンセプトで開発された製品となる(撮影:防犯システムNAVI取材班)
  • ロックダイナミクスの「Bluetooth-ASCA」。「ドアからカギ穴を無くそう」というコンセプトで開発された製品となる(撮影:防犯システムNAVI取材班)
  • 「Bluetooth-ASCA」の施錠・解錠操作をスマートフォンなどから行うための操作アプリ。画面はまだ開発中のものとなる(撮影:防犯システムNAVI取材班)
  • ユーエムイーの「LINKEY」を設置イメージ。シリンダー(カギ穴など)の上から被せる形で設置する。この他にドアの内側にロック機構を設置する(撮影:防犯システムNAVI取材班)
  • 「LINKEY」は、前面の認証端末のカバーを外すとシリンダーが出てくる。電池が切れた場合にはこのシリンダーに物理キーを差し込み操作できる(撮影:防犯システムNAVI取材班)
  • イッツコムの電子錠サービス「スマートロック」の認証端末。「イッツコム インテリジェント ホーム」と「イッツコム アパートメント」に含まれたサービスとなる(撮影:防犯システムNAVI取材班)
  • 本製品は認証前にランダムで4つのボタンが点灯し、それらを押してから暗証番号の入力となるため、特定のボタンに指紋が残り、暗証番号が類推されることを防ぐ(撮影:防犯システムNAVI取材班)

 住宅用のカギと言えば、多くの人は、カギ穴にキーを差し込んで、施錠・解錠するといった物理的なものをイメージするが、セキュリティ市場においては近年、いわゆる「スマートロック」と呼ばれる物理的なキーやカギ穴を使わない電子錠が注目を集めている。

 なかでもトレンドといえるのが、スマートフォンやタブレットなどのアプリ経由で施錠・解錠の操作ができる機能。東京ビッグサイトで開催されていた「賃貸住宅フェア2015」にも、そうした機能を有したスマートロックを複数の企業が展示していた。

 ちなみに「スマートロック」といっても、提供するメーカーによって定義は微妙に異なり、「スマートフォンでカギの開け閉めを行うもの」という定義と、「物理キーを使うよりも簡単な手順でカギの開け閉めができるもの」という定義に二分できる。

 昨今では、前者の定義で“スマートロック”とする製品も増えており、これまで後者の意味で定義されていた製品にも「スマートフォンなどで施錠・解錠が行える」という機能が追加されるケースが増えている。

 今回ピックアップするのは、玄関ドアの前面(外側)と後面(室内側)の双方に機器を設置するICカード&暗証番号認証付きタイプのスマートロックの数々だ。先ほど解説した定義に当てはめるなら、後者の流れをくむものが多い。

 このタイプに共通するのは、ICカードや暗証番号による認証端末をドアの前面に設置し、後面には認証を受けて施錠・解錠を行うロック機構が設置するという構成。スマートフォンやタブレットを使った施錠・解錠に加えて、ICカードや暗唱番号による認証を組み合わせて、より高いセキュリティを実現できることが特徴となる。

 なお、設置の際には、既存のシリンダー(カギ穴など)を取り外したり、ドアに穴を空けるといった、設置工事が必要となる。

●カギ穴を排除してピッキング犯罪を抑止

 最初に紹介するのが、今秋発売が予定されているロックダイナミクスの「Bluetooth-ASCA(ブルートゥースアスカ)」。ピッキング犯罪による被害をなくすために「カギ穴」をなくそうというコンセプトのもとに開発された製品で、同社既存のカード認証式電子錠「ASCA」に、スマホアプリやスマートホームシステムと連動して、解錠や施錠ができる機能を追加した製品となる。

 できることとしては、ドアに近付くと解錠し、離れると施錠される「オートモード」、読み取り端末(リーダー)にタッチすると解錠し、離れれば施錠する「セミオートモード」、スマホアプリで施錠&解錠を行う「アプリモード」、専用でリモコンで操作を行う「Bluetoothリモコン」などになる。

 1回限りの利用が可能なワンタイムパスワードや、特定の時間だけ使える時限パスワードによるキーのシェア、解錠履歴を残すことなども可能。基本的には単3形乾電池4本で運用する仕様だが、常時電源で使用できる。

 設置工事は必要となるが、既存のシリンダーを取り外して設置する場合はドアに穴を空ける必要はない(シリンダーを残す場合は要穴空け)。破壊警報、オートロック機能を有し、火災報知器との連動といったこともできる。

 続いては、ユーエムイーの「LINKEY」。専用のICカードをかざして施錠・解錠を行うことを基本とした電子錠だが、本体に内蔵した無線モジュールを利用して、宅内のゲートウェイ経由で、スマートフォンやPCから解錠・施錠の操作を行える。また、クラウド上に「いつ開閉されたのか?」「どのカードで解錠されたのか?」と行ったログを保存する。

 暗証番号による認証に対するセキュリティ対策もされており、入力前にテンキー上にランダムで2か所が点灯し、特定のか所に指紋が残ることを回避していくれる。

 単3形乾電池4本を利用し、もし電源が切れた場合は非常用電源供給機能に9Vの乾電池を押しつければ使えるようになる。取り付け工事は必要になるが、基本的には既存のシリンダー(カギ穴など)の上から設置するので、ドアに穴を空ける必要がない。

 最後は、イッツコムが8月から提供開始した電子錠サービス「スマートロック」。イッツコムが提供する、ホームセキュリティとスマート家電サービス「イッツコム インテリジェント ホーム」(一般家庭用)と「イッツコム インテリジェント ホーム アパートメント」(集合住宅のオーナー用)に含まれるサービスの1つとなる。

 「イッツコム インテリジェント ホーム」自体は、カメラやセンサーを使った家庭内の見守り、家電コントローラーを使ったエアコンや照明の管理などをスマホやタブレットで行えるようになるサービス。これまで紹介してきた製品が、単体でのサービスだったのに対して、本サービスは、他のサービスと連携させてセキュリティや利便性を向上できるのが特徴だ。

 具体的には、外出時に施錠と同時に照明を消したり、エアコンを切るようにカスタマイズできる。また、スマートフォンのアプリからは、スマートロックの操作・管理だけでなく、部屋に設置したカメラやセンサーのなどの確認も行える。

 「スマートロック」単体で見ていくと、スマートフォンによる操作のほか、ICカードや暗証番号による認証での施錠・解錠、連携が可能。暗証番号入力用のテンキー部分は、LINKEY同様、残留指紋から第三者に暗証番号を類推されないようにするために入力前に、ランダムでテンキーのボタンが点灯(本製品は4か所)。それらを押してから暗証番号を入力することになる。

 単3形アルカリ乾電池を4本で駆動(1日10回の使用で約1年)。電池が切れてしまった場合は、非常用電源供給機能に9Vの乾電池を押しつければ使えるようになる。

 今回紹介したICカード&暗証番号認証付きスマートロックは、鍵メーカーによる電子錠の技術を発展させた製品が多く、利便性の向上を意識しつつも、設計思想のなかに「防犯」「セキュリティ」が軸に据えられている。

 不動産業者や集合住宅のオーナーに向けた業務効率化を実現する製品でもあるが、一般住宅のセキュリティ強化を図りたい場合にも、最適な製品だといえる。

ICカード&暗証番号認証付きスマートロックの数々……セキュリティや利便性向上で注目

《防犯システム取材班@RBB TODAY》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース