矢野経済研究所は、次世代ものづくりソフトウェア世界市場について調査し、結果をまとめた。
調査は2014年12月から2015年6月まで、製造業向けソフトウェアを提供する大手ベンダーなどを対象に、同社専門研究員が面談や電話などでヒアリングするとともに、文献調査を併用した。
IoT(モノのインターネット化)を活用することで、製造業には新たな動きが起きており、インダストリー4.0やインダストリアル・インターネットとして注目されている。こうした製造業での新たな動きは、ソフトウェアにも大きく影響を与えている。
調査ではIoTを活用した製造業におけるソフトウェアを次世代ものづくりソフトウェアとし、2014年の次世代ものづくりソフトウェアの世界市場規模を181億8000万ドルと推計した。2014~2018年の年平均成長率は11.9%で推移し、2018年は285億1000万ドルを予測する。このうち、IoT基盤市場規模は、年平均成長率が46.7%で推移し、2018年には50億ドルになると予測する。
今後、「デジタルツイン(電子的な双子)」という考え方が重要になる。これは、現存する工場や製品について、全く同じものを仮想的(バーチャル)に再現することを指すが、次世代ものづくりでは、現存する工場や製品のデータをIoT技術により取得・収集・蓄積し、それとデジタルツインとを紐づけることで、コンピュータ上でシミュレーション精度の向上が図られる。
IoTの活用により工場や製品から発信されるデータ量は増加の一途となる。企業は、全体最適を可能にする企業情報システムの構築を急ぐ必要がある。国内製造業の生産現場の情報システムは分断されていることが多く、特に生産実行系とエンジニアリング系とのデータ連携は今後重要になると指摘する。