42年の歴史をもつ『パサート』。日本でも初代(2代目は『サンタナ』)から親しまれているVWのトップモデルだが、最新モジュラーコンセプト「MQB」で構造からパワートレーンまで一新、8世代目に生まれ変わった。ホイールベースが80mm伸びたものの、ボディサイズの変化は小さく、おおらかでクリーンな外観はいかにも“らしい”。写真は「R-Line」で専用のグリルなどを装着し“トクベツ感”を演出していた。インテリアも、ありがちなメタル調の加飾などは控えめで、清楚で広々とした印象だ。インパネ全幅に渡るエアベントが斬新。中央のアナログ時計も、ブルガリやIWCなどとこだわらずシンプルで自動車の時計らしく、安心感がある。前後居住スペースは広さが印象的。座面や背もたれが大きく、ゆったりと身を委ねられるシートは従来からの同車の美点だ。650~1780リットルの容量のラゲッジスペースの使い勝手のよさはもちろん踏襲。床下のスペースも容量が大きい。キーを携帯していれば、足のアクションで車外からバックドアをあけられる機能も盛り込まれた。新しい1.4リットルターボエンジンは、先代+28ps/50Nm(150ps/250Nm)の性能で、快活な走りを見せる。先代以上にダウンサイジングが板に付いてきた印象だ。また試乗車はオプション設定の19インチタイヤを履いていたが、ハイラインがベースということもあり、乗り味は非常にスムースで、ワゴンボディながらボディ剛性もかなりのもの…と感じられた。全方位安全支援機能の充実も心強い。■5つ星評価パッケージング:★★★★★インテリア/居住性:★★★★★パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★★オススメ度:★★★★★島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。