パーソナライズされた顧客体験はどのように実現できるか…セールスフォース最高自動車業界責任者

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米国セールスフォース・ドットコム エグゼクティブバイスプレジデント 最高自動車業界責任者 パトリック・ペラタ氏
  • 米国セールスフォース・ドットコム エグゼクティブバイスプレジデント 最高自動車業界責任者 パトリック・ペラタ氏
  • 米国セールスフォース・ドットコム エグゼクティブバイスプレジデント 最高自動車業界責任者 パトリック・ペラタ氏
  • 12月4日、ザ・プリンスパークタワー東京にてクラウドコンピューティングイベント「Salesforce World Tour Tokyo」が開催
  • 米国セールスフォース・ドットコム、エグゼクティブバイスプレジデント最高自動車業界責任者のパトリック・ペラタ氏とトヨタカローラ徳島、代表取締役の北島義貴氏
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  • 「Salesforce World Tour Tokyo」内、自動車業界向けセッション A New Automotive Experience

12月4日、ザ・プリンスパークタワー東京にてクラウドコンピューティングイベント「Salesforce World Tour Tokyo」が開催された。

同イベントでは米国セールスフォース・ドットコム、エグゼクティブバイスプレジデントのパトリック・ペラタ最高自動車業界責任者(CAO)が講演。ペラタ氏は、ルノーのCOOを務めるなど、自動車の製品面と管理面でリーダーとして職務をこなしてきた経歴を持つ。

◆元ルノーCOO、セールスフォースの最高自動車業界責任者が登壇

「セールスフォースで自動車産業を担当しております、ペラタです」と日本語での挨拶を披露した後、セールスフォースにおいて自動業界向けのビジネスが世界的に成長し重要な市場となっていると述べた。そして「今日は、新しく、かつこれからもっと必要とされるようになるautomobile experienceをいかにして実現するかについてお話します」と講演テーマを説明した。

ペラタ氏は冒頭、フォルクスワーゲングループ会長、ヴィンターコルン博士による2014年3月の発言を引用し、「“今後数年のうちに、自動車業界はクルマが発明された以来有数の激動期を迎える”というのは正しくて、避けられない現実だ」と断言する。

「自動車業界に起きるこの革命はエネルギー資源など、ほかの分野とも大いに関連します。私たちの生き方、働き方双方が変わるのです。だから自動車産業は、この変化、それも非常に差し迫っている変化から目を反らしてはならない」(ペラタ氏)

◆モバイル>コンピュータ モバイル+コンピュータ>TV

そこでペラタ氏は、現在の、そして近い将来の自動車業界を把握するためのポイントとして6つの話題を提示する。

まずひとつ目は、顧客のメディア接触時間を比較した米国での調査。その調査結果によると、コンピュータよりもモバイルにより多くの時間を費やしており、さらにコンピュータとモバイルの二つを足すと、テレビよりも多くの時間が使われていることが分かったという。ペラタ氏は、「この調査結果は自動車産業に対して示唆を与えていますし、モバイルの重要性が高まっていることが一つのポイントです」と述べる。

2つ目として挙げるのは、マッキンゼーによっておこなわれた自動車購入に関する調査。それによると、週に20時間以上をクルマで過ごすと答えた新車購入ユーザーの41%が、通信機能の優れたクルマへの買い替えを考えているという。「カスタマーは、外側の世界とのよりよい繋がりを求めて新しいクルマを購入しようとしている。これは非常に印象的な事実で、新しいクルマを選択するときの判断において、新しいクライテリア(基準)が誕生したことを示唆します」と述べ、“繋がるクルマ”に対するニーズが高まりつつあることを示唆する。

さらにペラタ氏が第3のポイントとして挙げるのは、「顧客は、“one to one”サービスを欲している」ということだ。「中国、ロシア、米国、日本において顧客が彼ら自身の“家に来てくれるようなサービス”の需要があることが分かっている。サービスマンがモバイルに対応し、どこからでも自宅に駆けつけてくれる。もはやカスタマーはディーラーショップに足を運びたくない」(ペラタ氏)。それは点検やメインテナンスなどの作業でも同様だ。そのためには、テレマティクスによって「事前に“クルマ”が、ディーラーにデータを送信してくれることを望んでいる」。

◆ドライバー行動情報が10億ドルの価値を生む時代に

4つ目に挙げた「ソーシャルメディアの活用」に続けて紹介する5つ目のポイントは「データの分析」。ここで例に挙げるのはOcto社のテレマティクス。同社は、クルマから保険会社にデータを送ることを事業として急成長しているという。「7年にわたるデータ収集で40万件の事故データと約2900億km分のドライバー行動データを得ている。収集した情報を相互に参照して、事故が起きた際に、それがどれほど深刻なものかを迅速に計算する。それにより、修理コストも推算でき、推算した結果を保険会社にほぼリアルタイムで知らせることができる」(ペラタ氏)。

最後の6つ目のポイントは、「アプリケーション」。カスタマー目線で考えた場合、そのブランド(メーカー、ディーラー双方)には、顧客を気遣い、自分のスタイルと調和してくれて、信頼できて、そして24時間365日いつも迅速に適切な対応をしてほしいと考えている。「カスタマーのこのような期待に応えるには、購買、サービス、再購買のすべてを含めた複数の段階を統合させる必要があります。そして顧客と自動車メーカー、ディーラーの間でのやり取り、それも潜在的なやり取りである、ということがおきる瞬間をすべてコントロールするべきなのです。このインテグレーションを達成するために、“customer success platform”が創られる必要がある」(ペラタ氏)

顧客のニーズを理解し、密な関係を築くために、one to oneサービス、ソーシャル、データ分析、アプリケーション、外とのつながり、そしてモバイルというキーワードを理解することが自動車業界に起きる変革を乗り越えていく際の味方となる。“顧客体験の深化”は自動車業界のみならずあらゆるサービス業について回るものだが、不動産に次ぐ高額商品であり、なおかつ数年間隔での購入機会のある自動車はメーカー/ディラーともに集中的に取り組むべき重要課題といえる。

《まとめ・構成 北島友和》

《北原 梨津子》

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