スマホで愛車をカスタム&メンテ… 86/BRZ 専用 OBD2接続デバイス が登場

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ツールプラネット「TPM-X」
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  • ツールプラネットのOBD2接続デバイス「TPM-X」を86でテスト
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水平対向エンジンや低重心FRパッケージを採用することにより、従来のスポーツカーとは一線を画す走りの楽しさを追求したトヨタ『86』/スバル『BRZ』。そのオーナーなら愛車への思い入れはとても強く、何でも知りたい、メンテナンスやカスタムもできるだけ自分で手をかけてやりたいと考えているのではないだろうか。そんな思いに応える製品が、整備工場向けに自動車用故障診断機を開発、販売しているツールプラネットから発売される。

◆デジタル化で便利になった現代の自動車

昨今の自動車はデジタル制御がますます進んでおり、エンジンやトランスミッションの制御は当たり前として、様々な電装品の作動もほとんどがECUにより集中管理されるようになった。点検や整備、修理も様変わりし、ハンディサイズの診断機を車両に接続するだけで、各種の点検や故障診断ができる。

さらに、最近のモデルはこうしたデジタル制御を利用して、電装品の様々な機能をカスタマイズできるようになっている。例えばワイヤレスキーでロックした時のアンサーバック音を消す、イルミ・ドームランプの点灯時間を変更するといったことが可能なのだ。スマホやカーナビ、デジカメなどにはいろいろなカスタマイズ設定があるが、自動車もそれに近い感覚になってきている。

このようにデジタル化が進み、メンテナンス面でも便利になっている最近の自動車だが、その恩恵をユーザーが直接感じることは、これまでほとんどなかった。なぜなら、点検にしてもカスタマイズにしても、高価な診断機がなければ操作することができないからだ。

◆高価な診断機の機能を低価格で 操作はスマホでも可

ツールプラネットは整備工場向けに自動車用故障診断機を開発、販売しているメーカー。ディーラーなどで整備士が運転席の足元にケーブルをつなぎ、ハンディサイズのデバイスを操作しているのを見たことがある人は多いはずだ。

そのツールプラネットが、初めてのエンドユーザー向けの製品として「TPM-X」を開発、近く販売を開始する。この製品を一言で説明すれば、プロの整備士が使っている故障診断機を超低価格にしたものだ。もちろん機能は絞りこまれているが、代わりにスマホやタブレットで操作できるユニークな機能を追加した。

「TPM-X」の本体は手のひらに乗るくらいの大きさで、ケーブルで車両のOBD2端子に接続する。本体にはアンテナが1本といくつかのインジケータがあるだけで、ディスプレイはない。無線LANを内蔵しており、スマホやタブレットとワイヤレス接続してデータの表示や操作ができるのだ。

ここまでの説明で、似たようなものを知っている、という人もいるかもしれない。たしかに、最近では車両のOBD2端子に接続するアダプターが非常に数多く販売されている。ほとんどの製品は、無線LANやブルートゥースでスマホと接続し、専用、あるいは汎用のアプリで操作するようになっている。

しかし、そういった製品と「TPM-X」を同列に比較することはできない。そもそも、OBD2アダプターが数多く発売されるようになったのは、OBD2規格が世界中の自動車メーカーに普及し、ハードウエアもソフトウエアも簡単に開発できるようになったからだ。しかし、そういった製品でサポートされているのはOBD2規格の基本的な部分だけで、車種ごとの仕様の違いは無視されている。

結果、安価なOBD2アダプターでは速度や回転数といった基本データをスマホに表示するくらいならすぐにできるものの、それ以上のことをしようとすると、使いづらいことも多いようだ。故障診断(エラーコードの読み取り)などの機能がアプリにあっても実際には使用できないことが多いし、アプリは海外製ばかりなので非常に使いにくい。

◆故障診断機メーカーが作った86/BRZ専用という快適さ

安価なOBD2アダプターの機能が少ないのは、メーカーごと、車種ごとの仕様の違いに対応できない、自動車メーカーの独自コードを解析できないということだろう。しかし、ここで紹介する「TPM-X」を開発したのは故障診断機の専門メーカーだ。車種ごとの仕様の違い、独自コードなどを知り尽くしている。もちろん日本のメーカーだから表示は全て日本語。さらに、対応車種をあえて限定することで複雑怪奇な故障診断機のイメージを払拭し、だれでも扱える明快な操作を実現した。

「TPM-X」に搭載されている機能は非常に多岐にわたる。主なところでは、故障診断(エラーコードの読み取り)、実測値の表示、それにカスタマイズだ。故障診断では、もちろんエラーコードの消去もできる。

開発したツールプラネットとしては、数多くの機能の中でもカスタマイズ機能をメインにアピールしたい考えのようだ。従来はディーラーに出向かなければできなかったカスタマイズが、いつでも自分でできるのは非常に便利。ユーザーにとって実利的な意味で最も使える機能だから、これを推していくのは当然といえる。カスタマイズできる内容は、車両の取扱説明書に記載されている。説明書ではディーラーでのカスタマイズを前提にしているが、それが自分でできるということだ。

また、取材した筆者としては、故障診断やアクティブテストが簡単に出来てしまうことに軽い興奮さえ覚えた。故障診断とはエラーコードの読み取りだが、よほど新しい車両でない限り、車両には何かしらのエラーコードが保存されているものだ。それを見ることで愛車の健康状態をより深く理解することができるし、トラブルにいち早く気づくこともできる。

一方、アクティブテストとは、本来は故障時の原因究明などに使う機能。例えばパワーウインドウが動かない時、アクティブテストを行って、動けばパワーウインドウスイッチの故障、動かなければモーターや制御回路の異常と判断できる。こういった機能だから本来はユーザーが使うものではないのだが、しかしスマホで操作すると車両のパワーウインドウが動いたり、ヘッドライトが点灯するといった様子は非常にインパクトがある。子供っぽい発想ではあるが、オーナーズミーティングの時にでも披露すれば注目を浴びることは請け合いだ。

◆ブラウザの使えるデバイスならどれでも操作できる

「TPM-X」はスマホで操作すると聞いて、専用アプリと組み合わせて使うと思った人が多いだろう。だが実際は違う。「TPM-X」はWebサーバーを内蔵しているので、操作はすべてブラウザで行うことができるのだ。つまり、スマホに限らずタブレット、ノートパソコンなど、インターネットを見られるデバイスで無線LANを搭載していればなんでも使えるということ。

そのため、いちいちアプリをインストールする必要がないし、タブレットやパソコンの大画面なら操作も非常にやりやすい。アメリカ映画などに、カスタムカーをノートパソコンでチューニングするシーンがよくあるが、雰囲気としてはそんなこともできる。もちろんエンジンチューニングはできないが、ノートパソコンで愛車を操るといった気分は味わえるのだ。

反面、「TPM-X」には追加メーターのような機能は一切ない。そもそも、走行中に本機をつなぎっぱなしにしておくことを想定していないと考えるべきで、必要なときにだけ接続して使う製品だ。追加メーターやデータロガーとしての機能をメインにしたOBD2アダプターとは根本的に異なる点には注意したい。

《山田正昭》

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