2014年8月25日、ロシア日刊紙イズベスチヤは、ロシアが2020年に国際宇宙ステーション(ISS)計画から離脱した後のISS利用計画について、科学界・宇宙産業界は研究継続の道を模索していると報じた。
今年5月、ロシアのロゴジン副首相はロシア連邦宇宙庁(ROSCOSMOS)のオスタペンコ長官と共に会見で「我々はISS を2020年まで利用する予定である」と述べ、ロシアのISS参加は2020年までとの方針を示していた。ISS参加の主要5カ国のうち、アメリカは今年1月にISS運用を2024年まで延長する方針を提案しており、日本は文部科学省 宇宙開発利用部会内の小委員会で2024年までの参加延長を求める方向で協議を続けている。
イズベスチヤ紙の報道では、ロシアのISS多目的実験モジュール『MLM:Multipurpose experiment module(愛称:ナウカ)』の方向性について、ROSCOSMOS内で検討が行われているという。MLMは当初2013年に打ち上げ、ISSのロシアサーヴィスモジュール「ズヴェズダ」と結合する予定だった。しかし技術上の問題点が見つかり、2014年まで遅れていた打ち上げ予定をさらに延期して、RSC エネルギアの工場で大掛かりな修理が続けられている。打ち上げ予定は2018年と大幅に延期され、予定通りの場合でも2020年のISS参加終了まで2年しか運用できないことになる。
ロシア宇宙機関の関係者のコメントでは、ロシア科学界からは、2020年以後もISS上で実験を行い、宇宙で研究を継続するための努力が始まっている。ロシア生物医学問題研究所からは、2015年以降に開始される1年間のISS長期滞在に向けてアメリカとの宇宙医学に関する共同研究の提案が行われているとのことで、アメリカ側も協議に応じているという。
ロシアのISS計画の今後には不透明な部分も多くあり、2006年から2015年までのロシア連邦の宇宙計画では盛り込まれていたISS関連予算が、2016年から2025年までの計画では縮小されるとの見方もある。とはいえ、極端な縮小は現在のロシアの宇宙産業でISS関連の作業に従事している従業員の雇用問題にも影響する。ロシア宇宙政策の専門家によるイズベスチヤ紙へのコメントでは、何らかの形でISS上での活動を継続する方向を政策側も了承する可能性が高いという。