宇宙から地上のロボット操作、ドイツ宇宙飛行士が実験

宇宙 テクノロジー
ユーロボットローバー試験機。2010年6月撮影
  • ユーロボットローバー試験機。2010年6月撮影
  • 宇宙-地上接続実験中のモニター
  • ゲルスト宇宙飛行士側のユーロボット ローバー操作画面
  • ISS滞在中のアレクサンダー・ゲルスト宇宙飛行士。写真はESAのISS補給船「ATV 5号機ジョルジュ・ルメートル」が到着、ISSに接続しハッチを開ける直前。

2014年8月7日、ESA 欧州宇宙機関のアレクサンダー・ゲルスト宇宙飛行士は、地上から高度約400キロメートルの国際宇宙ステーション(ISS)から地上の宇宙探査ローバー『Eurobot(ユーロボット)』を遠隔操作する実験を行った。

約90分間のISS-地上接続時間の中で、ゲルスト宇宙飛行士はISSが高度400キロメートル、時速2万8000キロメートルで地球を周回する中、ローバー操作用のラップトップコンピューターを使用し、コマンドへの応答とローバー搭載映像を頼りに遠隔操作実験を行った。

ユーロボットは、将来の火星探査や月探査に備えてESAが開発する宇宙探査ロボット。火星地表のローバーを地球から操作する場合を想定し、長距離の遠隔操作の際に発生する通信の遅延などの実証を行う。有人探査を行う前にローバーを目的地の惑星に送り込み、周囲の状況をモニターするといった用途を検討しているという。

今回の実験は、2012年にNASAのサニータ・ウィリアムズ宇宙飛行士が行った「メテロン計画(METERON:Multi-Purpose End-To-End Robotic Operations Network)」ローバー試験機に続く2回目となる。

8月7日グリニッジ標準時16時35分、ゲルスト宇宙飛行士は、オランダのESTEC技術センターで待機するユーロボットに対し、起動と周囲の状況を撮影し、送信するようコマンドを送った。オランダに位置するローバーと軌道上のISSとの接続は、ドイツ・ダルムシュタットのESA ESOC宇宙運用センター、ベルギー・ブリュッセルの支援センター、NASAの施設を中継する形で維持されている。ESAでは、こうした複数の中継を経由して宇宙と通信を確立する形態を宇宙インターネットと呼んでいる。

《秋山 文野》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集