太陽系外の物質か…スターダスト探査機サンプルから発見

宇宙 科学
シリカエアロゲルをタイル状に並べたスターダストのダスト収集器(右)の分析が続けられている。
  • シリカエアロゲルをタイル状に並べたスターダストのダスト収集器(右)の分析が続けられている。
  • 最大サイズの星間物質がダスト収集器に衝突した痕跡。35マイクロメートル、3ピコグラムあったと考えられる物質だが、秒速15キロメートル以上の高速で飛行していたため、収集器にあたって蒸発したと考えらえる。より低速のダストは、エアロゲルの中で見つかった。

2014年8月14日、NASAは2006年に地球に帰還した『スターダスト』探査機が収集した宇宙の塵の中から、太陽系の外から来たと思われる7つの星間物質が発見されたと発表した。確認されれば、史上初の太陽系外物質のサンプルとなる。

スターダスト探査機は、1999年に打ち上げられ、2004年にヴィルト第2彗星の尾の中を240キロメートル飛行して宇宙の塵の採取を行い、2006年の1月15日に地球にサンプル収集器のカプセルを再突入させた。サンプルはNASA、ジョンソン宇宙センターの分析設備に移送され、保護された状態で研究がつづけられている。

サンプル分析チームの発表によれば、アルミホイルとシリカエアロゲル製のダスト収集器の中から、太陽系初期のものである7つの星間物質粒子が見つかった。由来が確認されれば、粒子は現代において見つかった星間物質の初サンプルとなる。

粒子は化学的組成と構造の点で、研究チームの予想よりもはるかに多様性をもっていることがわかった。小さい粒子は大きな粒子と大きく構造が異なり、大きな粒子の多くは雪片や綿毛状のふわふわした構造になっているという。

7つのうち4つの粒子は、トレイ状の収集器を区切るアルミホイルのなかで見つかった。ホイルは当初はダスト収集用途に使う予定ではなかったが、海軍研究所の物理学者ロンダ・ストラウドをリーダーとする国際チームは、ホイル上を探して星間物質の組成と合致する物質の痕跡が残る4つの穴を確認したとしている。

アルミホイルの4つの粒子のうち3つは、差し渡し1マイクロメートルの10分の1しかなく、天文学者によっては星間物質としては考えられないと指摘するイオウ化合物を含んでいる。研究チームは、星間物質の種類と起源を解明するために十分な粒子を見つけるため、ホイルの残りの部分を分析する予定だ。

超新星爆発、赤色巨星などの現象から、炭素、窒素、酸素と言った生命に必須の重い元素を生みだされることがわかっている。「Orion」 と「Hylabrook」と名付けられた2つの粒子は、酸素同位体の量を測定する分析を受けることとなっており、太陽系外の起源を裏付けるの強力な証拠となると考えらえる。また、生命の起源の解明にもつながることが期待されている。論文は8月15日付の米科学誌サイエンスに掲載される。関連する論文は「Meteoritics & Planetary Science」誌にも掲載される予定だ。

《秋山 文野》

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