ダイナックスというメーカーは聞いたことはなくても、エクセディの名前は知っている人が多いと思う。クラッチメーカーのエクセディの100%子会社で、クラッチの部品を製造しているのがダイナックス。そのダイナックスが独自に「テクノフロンティア2014」に出展。しかもクラッチではなく、インホイールモーターを展示していた。
ダイナックスのスタッフによると、このインホイールモーターは5年前から北海道大学と共同で開発してきたそうだ。きっかけは、EVが普及するとクルマの部品点数が少なくなるという部品メーカー業界の見通しだった。取り分けダイナックスが生産しているクラッチを使うトランスミッションが無くなると予想されたことから、その危機感から新規事業としてモーターの開発を開始したのである。
「バッテリーやパワーコントローラーなどは大手企業さんがすでに開発を進めていたので、参入できる可能性のあるインホイールモーターを選んだのです」と語る。
開発したインホイールモーターの特徴はレアアースを使わないフェライト磁石を使ったモーターで、内部に減速機を組み込める構造にある。薄型で減速機の出っ張りを利用することでディスクブレーキを装着してもホイール内に上手く収まるそうだ。
昨年スマートを改造したインホイールモーター搭載のEVを製作し、走行テストなどを行っている。これまでも展示会などではエクセディのブースの片隅にモーターを展示していたそうだが、いよいよ実用化への道をたぐり寄せたため、今回の出展となったのである。
今回、展示したのは減速機を含まないタイプも含めた3種類の出力のインホイールモーターだが、これからEVを製作するメーカーと供給に関する商談を行っていきたいとしている。当然、供給先のスペックに合わせて設計を変更することも視野に入れている。
出力だけでなくサイズやその他のスペックから見ても、かなり現実的なレベルにあるダイナックスのインホイールモーター。マイクロEVなど小規模EVメーカーの動力源として魅力的な選択肢となりそうだ。