TRWは2001年に電動パーキングブレーキ「EPB(エレクトリックパーキングブレーキ)」を実用化した。そして現在、ブレーキシステムを電子制御化し、衝突時の損傷を軽減するシステムを開発している。
一般的な自動車のブレーキは、ペダルを踏む力をエアチャンバーが増大させ、人間以上の力を発生させブレーキを駆動するが、TRWが開発しているIBC(統合ブレーキコントロールシステム)はそれを電子制御化し、エンジンの不圧の力に頼らず駆動する。
このことにより、エンジンパワーのロスがないために燃費が向上する。しかし、電子制御化による効果、狙いは別にあるという。TRW運転支援システム担当ピーター・オーステン氏によれば、「緊急ブレーキ時、1Gの制動力が立ち上がるまで、人間の場合は130m/s。しかし、機械の場合は130m/sの反応速度の差があり、速度にすると約20km/hになる。我々はIBCと「DAS(ドライバーアシストシステム)」を統合制御することにより、緊急ブレーキの精度をより高めることが目的だ」とのこと。
そして、ディベロップ・マネージャーの竹村龍一氏は、「このシステムは、ECUから指令を受けた際の反応速度が、他社に比べ抜きん出ている。反応速度が速いということは、その分速く止まり始めるということで、万が一衝突してしまっても最小限の被害に押さえることができる。そして、このシステムにスリップコントロールが組み合わされるため、挙動の乱れも防ぐ」と語った。
IBCは、それだけで完全に衝突回避は不可能で、あくまで最小限の被害にとどめることが目的のシステムだという。そして、そのために同時に開発されているのが緊急ステアリング・アシストシステム。TRWは、この両方を統合することで、完全な衝突回避アシストを目指す。