タイ首相と9閣僚、不正人事で失職 政権崩壊は回避

【タイ】2011年に当時のタウィン国家安全保障会議(NSC)事務局長を首相顧問に異動した閣議決定が権力乱用で違憲だとして、前上院議員が訴えていた裁判で、憲法裁判所は7日、この人事を承認した閣議に出席していたインラク首相と閣僚9人を失職とする判決を下した。

エマージング・マーケット 東南アジア

【タイ】2011年に当時のタウィン国家安全保障会議(NSC)事務局長を首相顧問に異動した閣議決定が権力乱用で違憲だとして、前上院議員が訴えていた裁判で、憲法裁判所は7日、この人事を承認した閣議に出席していたインラク首相と閣僚9人を失職とする判決を下した。

 憲法裁は原告が求めていた後任の首相任命は権限がないとして却下した。

 議会下院が解散中で、後任の首相が選出できないため、政府は失職を免れた閣僚26人の中から首相代行を選ぶと予想される。

 失職したのは問題の人事を承認した閣議に出席していたインラク首相、スラポン副首相兼外相、キティラット副首相兼財務相、プロードプラソプ副首相、プラチャー副首相、チャルーム労相、ユタサク副国防相、サンティ首相府相、アヌディット情報通信技術相、シリワット副農業協同組合相。

 今回の判決はタクシン元首相の妹のインラク首相を退陣に追い込んだものの、タクシン派与党プアタイ(タイのため)の選挙管理内閣の継続を認めた。

 タクシン派政権の打倒、非民選内閣の樹立などを掲げる野党民主党など反タクシン派の目的は達せられず、バンコクでの反政府デモや司法、上院を使った政権打倒の試みが続く見通し。

 政府・プアタイは今後、7月投票を目指している下院選を成功させ、政局を正常化させたい意向だ。ただ、投票を強行しても、2月の下院選同様、反タクシン派の選挙妨害、憲法裁による選挙無効判決が予想され、突破口は見いだせていない。

 インラク首相の失職の原因となったタウィン氏の異動は首相の元義兄にあたるプリアオパン副警察長官を警察長官に昇進させた人事の玉突きで、これにより当時のウィチアン警察長官がNSC事務局長に転任し、タウィン氏がポストを失うこととなった。タウィン氏は異動後、不当な人事だとしてNSC事務局長への復職を求める裁判を起こし、勝訴。今年3月25日にNSC事務局長への復職が閣議決定された。

《newsclip》

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