ナビゲーション ソフトウェア プロバイダー「NNG」は4月10日、2014年内に日本オフィスを愛知県・名古屋エリアに設け、日本市場での本格参入を果たすと発表した。純正/市販ナビを問わず積極的に採用を働きかけ、日本国内で10%のシェアを目指す。
NNGはハンガリー・ブダペストに本社を置く、10年前に創業した若い会社だ。ナビゲーション事業に参入以前は主としてゲームソフトを中心としており、ここで培ったグラフィック系のノウハウがビジュアル系に強いナビゲーションソフトとして評価され、欧米を中心に着実にシェアを伸ばしてきた。これにより、NNGは16社のカーナビメーカー経由で30以上のカーブランドに提供。全世界トップ10自動車メーカーの内、7社がパートナーになっているという。
NNGの純正カーナビシェアは欧州、北南米、アフリカに限ると26%(2013年)。残るアジア市場での展開を目指し、既参入の中国に続き、日本への参入を果たすことになったわけだ。間もなく、韓国での市場参入も果たす予定になっているという。
NNGのCEOであるPeter Balogh(ピーター・バロフ)氏は「これまで欧米やアフリカ市場でビジネスの足場を築き上げてきたが、次の目標としてアジアを見据え、その中心となる日本への参入タイミングを模索していた。2006年以来、日本のパートナー企業と良好な関係も結んでおり、さらなる積極的な展開を図るために日本オフィス設立を決定した」と日本オフィス設立までの経緯を説明した。
NNGは、ナビゲーション用ソフトウェアのコアと呼ばれる部分を提供することを役割とする。これについてバロフ氏は「ナビゲーションは国ごとに様々な特徴があり、NNGは既に168カ国に事業を展開し、2000万台以上の出荷実績を持つ。その我々にはいろんなフィーチャーが求められており、そのニーズに応えられるだけの優れた技術力を持っているのがNNGの優位性だと考えている」と説明。ナビゲーションに対する厳しい選択眼を持つ日本市場での重要性を強く意識していることも窺わせた。
日本オフィスを立ち上げるNNGディレクターOEMリレーションズの池田平輔氏は、「日本の道路は、何層にも重なり合い、住所の番地も不揃いであることなど、欧米とは異なる特異性を持つ。それぞれに得意分野を持つ複数のソフトを集約することで、この問題を解決できる優れた技術力がNNGにはある。これまでにもスマートズームやVICSなど24種類の日本向け機能を実装して、日本のユーザーの声に対応してきた」と説明。さらに今後1年間で25の新機能も追加する予定だという。
また、池田氏は「NNGは基本的に『ホワイトレーベル』としての立場におり、ブランド名は一切製品に登場しない。これは地図のアップデートや渋滞情報などが取得できるポータルサイトにおいても同様で、これは各メーカーの求めに応じたカスタマイズが可能という特徴につながる」と、NNGが持つ開発力に対する柔軟性を強調した。
NNGの製品がマツダ『アクセラ』のナビゲーションに採用されていることは既に明らかになっているが、同社によればこれを含めカーナビメーカー2社がNNGのナビゲーションを採用済み。2015年にかけて4つのプロジェクトが進行中であることも明らかにした。
また、日本の顧客の一つである富士通テンからは優れた製品開発を行ったサプライヤーとして「2013年度サプライヤー・アワード」を受賞。池田氏は「製品開発力と供給へのサポートが高く評価された」とその感想を述べた。なお、NNGのソフトを採用している富士通テンのナビゲーションは日本市場未導入となっている。