全球降水観測計画GPM衛星 NASAからマイクロ波放射計の初画像発表

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GPM主衛星搭載のマイクロ波放射計が3月10日、日本に雨や雪をもたらした温帯低気圧を観測した範囲。赤い部分は降雨の強い部分を表す。
  • GPM主衛星搭載のマイクロ波放射計が3月10日、日本に雨や雪をもたらした温帯低気圧を観測した範囲。赤い部分は降雨の強い部分を表す。
  • 同じく3月10日、GPM主衛星搭載のGMIが3月10日に日本付近の温帯低気圧を観測した画像。左上のブルーで示された部分に降雪を示す部分がある。
  • マイクロ波放射計GMIは13チャンネルの異なる波長に対応し、豪雨から弱い雨、雪の違いをとらえることができる。

2014年3月25日、NASAは今年2月28日に鹿児島・種子島宇宙センターから打ち上げられた全球降水観測計画『GPM主衛星』搭載のマイクロ波放射計「GMI」がとらえた初の画像を公開した。

GPM主衛星は、NASA・JAXAが共同で開発し種子島宇宙センターからH-IIAロケット23号機で打ち上げられた、世界の降雨、降雪を観測する衛星。NASA・ゴダード宇宙飛行センターが衛星本体、衛星メーカーのボール エアロスペース アンド テクノロジーズが幅広い範囲の降雨情報をとらえられるマイクロ波放射計「GMI」の開発を開発している。JAXA、NICT 情報通信研究機構は、降雨を正確にとらえる「2周波降水レーダ DPR」開発を担当している。

NASA側の発表もGPM/DPRの観測結果と同様に、日本付近の広い範囲に強い寒気と北海道の大雪をもたらした温帯低気圧を、3月10日午後10時39分ごろ、日本の東海上の北緯40度、東経167度付近で観測したものだ。

GMIは13チャンネルの周波数帯に対応し、雨滴と雪片ではマイクロ波の放射が異なる性質を利用して、降雪や霧雨のような弱い雨から豪雨まで雨の変化を観測できる。チャンネル数は、GPM主衛星の前任、熱帯降雨観測衛星TRMMに搭載された同型の機器よりも4チャンネル増えている。GMIは幅広い範囲を一度に観測することができ、全球降水観測計画に参加する世界の他の衛星、副衛星群に対し、マイクロ波観測の校正の基準となる”物差し”の役割も担っている。

3月25日、JAXAで行われたGPM/DPRの初観測画像取得に関する記者会見で、小嶋正弘プロジェクトマネージャは「GMIの観測データはDPRにくらべ容量が比較的小さく、NASAのデータ中継衛星を利用して5分間隔と高頻度で取得できる」と述べた。広範囲、高頻度に降雨の情報をとらえるGMIと、降雨の強さを3次元的に精密にとらえられるDPRを組み合わせ、GPM主衛星は雨量計を持たない地域も含めて地球全体の降雨を観測するミッションを開始した。運用機関は3年で、後期運用を含め5年間の観測を目標としている。

《秋山 文野》

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