【フォード フィエスタ 試乗】想定以上に骨太、爽快な走りに驚き…青山尚暉

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フォード フィエスタ 
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フォードと言えば、『マスタング』などのアメリカ車をイメージする人が多いはず。

しかし今、注目すべきはこの欧州フォードの『フィエスタ』だろう。

ボディサイズはほぼVW『ポロ』と同じ。229万円の価格に「ぶつからないフィエスタ?」的なアクティブシティーストップ、リヤビューカメラ(小さい)が含まれるのが特徴だ。ちなみにVWポロのActive2(全国限定2000台)はナビ付きで232万円だ。

スタイリングは超高級車を思わせる!?フロントグリル、クーペ的なアーチを描くルーフライン、そして精密感あるディティールが印象的だ。このクラスでは出色の出来、カッコ良さがある。フロントドアのガッチリとした開閉感も好ましい。

とはいえ、フィエスタで驚かされるのは走り。エコブーストと呼ばれる100ps、JC08モード燃費17.7km/リットルのスペックを持つ1リットルターボの3気筒エンジンは2012年、2013年連続で「インターナショナルエンジン・オブ・ザ・イヤー」を受賞。まさにその栄誉に恥じないパフォーマンスを見せてくれるのだ。

具体的には3気筒感などまったく感じられない。全域でスムーズかつトルキーで(トルクが盛り上がるのは約2000回転から)、市街地走行から山道、高速道路まで、想定外のパワーと加速力を、高い質感とともに味わうことができる。

ミッションはMTとATのいいとこ取りと言える6速デュアルクラッチミッション。出足の一瞬、極低速域こそMTっぽさを感じさせる場面はあるものの、そこからは文句なくスムーズな変速をこなす。

タイヤはハンコック製195/45R15限定。そのサイズゆえ乗り心地は確かに段差越えなどで硬さを感じるものの、スポーティなクルマ好きにとっては"心地よい硬さ"というべきタッチ。骨太なボディの剛性感の高さにも感心させられっぱなし。今回、市街地、高速道路、山道を含め約150キロを走行したが、不快に感じたことはほぼなかった。

操縦性も文句なしだ。ステアリングは実にスムーズかつリニア。意のままの操縦性とはこのことで、カーブや山道が恋しくなるほど走りはファン。安定感も素晴らしく、初心者ドライバーなら「運転がうまくなった」と感じるに違いない。

もっとも、平均燃費計が100キロ走るのにガソリンが何リットル必要…という表示で、SONY製のラジオに日本語表記がないのはちょっと残念な部分ではある。

コンパクトなボディサイズだから後席の居住スペースは決して広々とは言えないものの、身長172cmのドライバー基準で頭上に約10cm、ひざ回りに約10cmのスペースがある。例えばVWポロは同8.5cm、12cmである。さすがにスペースユーティリティに優れたフィットなどの日本車にはかなわないにしても、大人2人が乗車するのに必要十分のスペースは確保されている。

VWポロより広い荷室はフロアボードが便利。上段にセットすればその下に隠しトランクスペースが出現。下段にセット、または取り外してしまえば荷室奥行きがかせげるわけだ(上段セット時58cm、下段または取り外し時69cm)。

とにもかくにも、このクラスの欧州車、コンパクトカーを探している人は、先入観を捨てて一度、試乗してみることを薦める。少なくともボクは目からうろこ、だった。

ちなみに東京~大磯間を気持ち良く往復した(市街地20%、高速道路80%。エアコンON)ときの実燃費はディスプレー表示で6.1リットル/100km。つまり約16.4km/リットルと、JC08モード燃費の17.7km/リットルに対して約92%という数値だったのだから優秀だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
ペットフレンドリー度:★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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