ポルシェがはじめて手がけた4ドアモデルが『パナメーラ』。2009年の登場なので、発表後約5年を経ていることになる。
現在、日本に導入されているラインアップは3.6リットルのパナメーラにはじまり、ハイブリッドやターボなどじつに多彩なパワーユニットが用意されている。
試乗機会が与えられたのはもっともベーシックなパナメーラで、基準状態での価格は994万円。レクサス『LS460』の上級グレード程度の価格帯。4ドアのプレミアムモデルであるという点でも共通性はある。
クルマに近づいていくと、まずその大きさにビックリさせられる。全長は5015mmとレクサスLSより短いが、全幅は1931mmと広く、全高は1420mmと4ドアモデルとしては低い。絶対的な大きさよりも、ワイド&ロー&ロングという見慣れないディメンションに圧倒されるという感じだ。
3mに迫るホイールベースはどっしりとして落ち着いた乗り味を生み出している。わだちや路面の荒れにも柔軟に対応し、大きな段差を超えてもしっかりとしたダンピングで乗り心地を確保。攻め込むタイプのコーナリングを楽しむクルマではないが、安定したコーナリングは、ポルシェならでの安心感を生んでいる。これだけしっかりしながら、プレミアムサルーンらしい乗り心地を得ていることにはビックリさせられる。
ポルシェはスポーツカーの『911』で走りのノウハウを蓄積、その後SUVのカイエンで背の高いクルマのノウハウを得た。また、かつては『928』というFRモデルをラインアップしていたこともある。そうした歴史のなかで生まれたのがこのパナメーラで、こうした背景を持つサルーンは珍しく、その味わいも独特だ。
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。