今秋、火星に彗星が大接近 火星探査機による一斉観測を予定

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NEOWISE衛星がとらえたサイディング・スプリング彗星
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2014年1月28日、NASAは今年10月19日に火星に『サイディング・スプリング彗星』が最接近し、火星探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)」や火星ローバー「キュリオシティ」による一斉観測を計画していると発表した。

C/2013 A1 サイディング・スプリング彗星は2013年1月3日にオーストラリアのサイディング・スプリング天文台が発見したオールト雲起源の彗星。火星のそばを通る軌道から、火星に衝突かと発見当時話題になった。ハッブル宇宙望遠鏡やNEOWISE衛星の観測結果から現在予測されている軌道では、火星から13万8000キロメートルを通過する。これは地球に置き換えると地球-月間のおよそ3分の1程度の距離となり、近くはあるものの衝突コースとはいえない。

サイディング・スプリング彗星は、今年の4月から5月にかけて太陽に近づいて表面の氷が溶け、多くのダストが放出されて火星に多く降り注ぐことが予測される。こうした彗星の活性化がどの程度起きるか、NASAの研究者による検討が行われている。現在、火星では火星周回探査機マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)、マーズ・オデッセイ、火星探査ローバーのオポチュニティ、キュリオシティ、欧州の火星探査機マーズ・エクスプレスが活動している。また、今年9月には昨年打ち上げられたNASAの火星探査機MAVEN、インド初の火星探査機マンガルヤーンが到着する予定だ。火星の薄い大気でも、彗星から来る宇宙塵から地表のローバーを守る効果はあるとされるが、火星の上空を周回する探査機には損傷が起きる可能性もあるという。通常の宇宙塵が探査機に大きな損傷を与える可能性は数パーセントだというが、今回サイディング・スプリング彗星からもたらされる、秒速56キロメートルにもなる宇宙塵の危険性はその10倍以上になるとされる。

探査機に与える影響を慎重に計る必要はあるものの、火星に大接近する彗星を火星探査機で一斉に観測できる機会に期待が寄せられている。2013年にアイソン彗星が火星に接近した際にも観測が行われたが、サイディング・スプリング彗星よりも80倍以上の距離があったため、MROで撮影した画像でアイソン彗星の核は1ピクセル程度の大きさとなった。今回、彗星の核をMROの「HiRISE(ハイライズ)」カメラで撮影すると、数十ピクセルの大きな画像を得られるという。また、火星ローバーのキュリオシティとオポチュニティは、彗星の尾を構成する粒子の規模を計る指標として、地表から流星雨を観測する役割を担う。

サイディング・スプリング彗星は火星への最接近から6日後に太陽に最も近づく。次に太陽系の内側に戻ってくる機会は、100万年後になるとのことだ。
《秋山 文野》

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