日立造船、「次世代型煙突」を太陽工業と共同開発…超軽量と高いデザイン性でランドマークを目指す

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日立造船と太陽工業、次世代煙突を共同開発
  • 日立造船と太陽工業、次世代煙突を共同開発

日立造船と膜構造物メーカーの太陽工業は、煙突外壁の軽量化と構造安全性、景観調和に優れる「フッ素樹脂酸化チタン光触媒膜材料」を使った「次世代型煙突」を共同開発し、本格営業を開始した。

新たに開発した技術は、環境分野で、都市ごみ焼却施設の設計・施工から長期運営に関するノウハウをもつ日立造船と、大型商業施設やスポーツ施設で展開する膜構造技術をもつ太陽工業が、次世代型煙突を実現、循環型社会の構築を目指したもの。

次世代型煙突は、膜材料の柔軟性を生かし、これまでにないデザインを可能にする膜構造煙突を実現するため、2011年から開発してきたが、今年5月末、国土交通大臣指定性能評価機関である日本膜構造協会の技術審査により安全上問題が無いことを確認した。

煙突の外装材に、膜材料を適用したことで従来のコンクリート、PCパネルにはない超軽量な外装材を実現した。都市ごみ焼却施設や火力発電所などの煙突を対象としている。

従来の都市ごみ焼却施設などの煙突は、高度処理された排ガスを通過させる筒身(鋼管)に、景観配慮の観点からコンクリートや鋼板パネルを用いた外装を設ける必要があったが、次世代型煙突では、太陽工業が開発したフッ素樹脂酸化チタン光触媒膜を外装に用いることで、強度を保ちながら、高いデザイン性を実現したとしている。

日立造船では、都市ごみ焼却発電施設や火力発電所、原子力発電所向けなどに鉄筋コンクリート製煙突や鋼製煙突を400本以上納めており、煙突の設計・製作・施工で国内トップレベルの実績を持つ。

太陽工業は、大型膜構造建築物メーカーとして、国内では東京ドーム、長居陸上競技場を始め、海外の大型スポーツ施設などの屋根膜など様々な分野・用途に展開される膜構造の設計・施工を行っている。

東日本大震災以降、防災・減災への取り組みが進む中、煙突の軽量化や設計の構造安全性が求められている。これまで発生した地震でも、都市ごみ焼却施設の鉄筋コンクリート製煙突に亀裂が生じて煙突が傾いたり、一部損傷といった事例が発生している。

日立造船は、都市ごみ焼却施設で国内トップレベルの実績を持つが、太陽工業と共同開発した次世代煙突を通じて、煙突の安全性向上や施設のランドマーク化などに貢献していく。

《レスポンス編集部》

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