豊田自動織機は、新型トヨタ産業用ディーゼルエンジン「トヨタ1ZS」を開発したと発表した。
新開発エンジンは、世界トップクラスの低燃費でクリーン、コンパクトなトヨタ産業用エンジンで、今後、同社が開発・製造するフォークリフトへ搭載するほか、建設機械や農業機械、発電機など、広く産業機械用として販売する。
自動車用エンジンと同様、産業用エンジンでも日米欧の先進国で排出ガス規制の強化が進み、加えて中国・インドなどでも先進国並の規制導入が検討されている。特に、最新の排出ガス規制では、PM(ディーゼル微粒子)排出量を前規制の10分の1以下に抑制するなどの厳しい指標が掲げられており、排出ガス規制強化への適応と燃費向上のニーズが高まっている。
これら市場ニーズに対応するため、新開発エンジンでは、シリンダーブロックなどの基本骨格から新たに設計し直して直列3気筒の直噴コモンレールターボディーゼルエンジンを開発した。
1KD搭載の小型電子制御可変ノズル式ターボチャージャーをエンジンに最適化させ、小型化を実現、低速域に高トルクのニーズのある産業用エンジン専用の小型ターボチャージャーを新開発した。排気ガスを受けて回転するタービン翼と吸気を圧縮するコンプレッサー翼、可変ノズル開度を最適化することで、全域にわたって過給が可能となり、エンジンのダウンサイジングに大きく寄与する。
新型ターボチャージャーによって吸入空気の増加と、直噴コモンレール式燃料噴射による燃料噴霧の微粒化を図り、新設計の燃焼室と組み合わせ、燃焼効率を大幅に改善した。これによってPM発生を抑制し、DPF(ディーゼル微粒子除去装置)を用いることなく、各国の排出ガス規制に適合する。
また、3気筒エンジンではピストンの上下運動から一次の往復偶力が残り、クランクシャフトの両端を交互に上下させるような揺さぶる振動が発生する。新開発エンジンは、クランク後端のフライホイールと前端のクランクプーリーにバランスウエイトを設けることで、振動を上下振動から左右振動に変換する。左右振動は、エンジンマウンティング方法の最適化などにより対応する。
EPA(米国環境保護庁)第4次排出ガス規制(Tier4規制)やEUノンロードStageIIIB、日本の特殊自動車2013年排出ガス規制にそれぞれ適合するとしている。