LANDSAT地球観測衛星画像の価値は約22億ドル 米地質調査所が発表

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LANDSAT7が撮影した日本・富士山上空の画像
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  • 最新機LANDSAT8

2013年12月2日、USGS アメリカ地質調査所は、第1号機の打ち上げから40年以上にわたる地球観測衛星「LANDSAT(ランドサット)」シリーズの利用状況を調査、報告書を発表した。

1972年に第1号機が打ち上げられ、今年から最新の8号機が稼働を始めた光学地球観測衛星LANDSATシリーズ。パンクロマチック(可視域)センサーの解像度15メートル程度と、商用高解像度衛星には及ばないものの、40年以上継続的に地球観測画像を蓄積してきた実績を持つ。16日に1度、同じ地域を撮影できる。Googleマップ、Google Earthの衛星画像として利用されているほか、ケニヤの干ばつ地帯で地下水資源を発見したユネスコの事業などにも利用されている。USGSでは、EROS(地球資源観測科学センター)を通じてLANDSAT画像を無償で配布しており、登録ユーザーであれば誰でもダウンロードして利用できる。USGSの調査では、4万人へ利用状況を尋ね、1万1000人から回答を得た。

「Users, Uses, and Value of Landsat Satellite Imagery-Results from the 2012 Survey of Users」で報告された調査では、環境科学、農業、都市計画、資源管理や人道的支援など38の分野にわたってLANDSAT画像が利用されていた。気候変動の調査や漁業資源、水資源管理などの環境科学と管理が最も多く48パーセント、続いて土地利用/土地被覆調査が25パーセント、収量予測など農業が8パーセント、教育が6パーセント、都市化の調査など開発計画が5パーセントと続く。2013年2月に打ち上げられた最新機のLANDSAT8号(LDCM)画像が利用できるようになれば、さらに画像の利用機会が増えるとの回答は米国内、国外とも60パーセントを越えている。

LANDSAT画像への依存度について、4分の3にあたる回答者は、LANDSAT画像が欠かせないと回答しており、3分の2は画像が利用できなくなった場合は、現在の活動が続けられなくなるという。どうしてもLANDSAT画像が利用できない場合に他の衛星画像で置き換えるとすれば、という質問にはNASAが1999年に打ち上げた地球観測衛星「Terra」に搭載された「ASTER」センサーの画像を利用するという回答が最も多く、25パーセントを越えた。続いてフランスの商用地球観測衛星「SPOT」利用を検討する回答が20パーセント以上となっている。アメリカ国外の回答者では、日本の地球観測衛星「だいち(ALOS)」画像や中国・ブラジル共同による地球観測衛星で2004年から画像の無償配布を行っている「CBERS」利用を検討するという回答が多かった。

LANDSAT画像の経済効果についても調査報告が行われた。無償で配布される画像の価値を算定するにあたり、CVMと呼ばれる調査手法を用いて、画像1シーンあたりにどれだけ支払うことができるのか利用者から聞きとる形で評価が行われた。回答は10ドルから1万ドルまで幅広く、2011年にEROSを通じて配布された画像は、アメリカ国内で17.9億ドル、アメリカ国外では4億ドル、合計で21.9億ドルの価値を持っていたと推計される。

《秋山 文野》

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