【R-M ベストペインターコンテスト13】王座奪還に向けて克服すべき課題…菅原代表×ロニー氏対談

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左から、菅原健二さん、BASFジャパンの清水健一さん、ロニー・レイメーカース氏
  • 左から、菅原健二さん、BASFジャパンの清水健一さん、ロニー・レイメーカース氏
  • 大会について振り返る、日本代表の菅原健二さん(左)とRCCマネージャーのロニー・レイメーカース氏(右)
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独BASF主催の自動車塗装世界一を競う「R-M ベストペインターコンテスト」がフランス・クレルモンで行われてから約一ヶ月が経った。

日本代表の菅原健二さん(東広島・新和自動車)は18人中5位と健闘。この度、トレーニングのために来日したR-Mリフィニッシュコンピーテンスセンター(RCC)マネージャーで同大会の審査委員長のロニー・レイメイカース氏とサポートを務めたBASFジャパンの清水健一氏、菅原さんの3名が一堂に会し、大会を振り返ると共に今後の方向性について語り合った。

環境の変化、競技の順序が影響した結果

まず、始めにロニー氏から菅原さんへの競技に関する評価が述べられた。ロニー氏によると「"Efficient application(効率的塗装)"はとてもよくできていた選手の一人。ただ、実技の"Plastic repair"における点数が低かったのは非常に惜しい。この種目が良ければ優勝できただろう」という。コンテストではプレッシャーゆえに普段やらないようなミスをしてしまう選手もいるが、一環して「プレッシャーは感じなかった」という菅原さん。一方、時差や気温の変化、競技の順序が一番目だった"Plastic repair"に影響した部分はあるようだ。

「(優勝した)ノルウェー代表のオーレ・クリスチャン選手は最初の競技で100点を出したことで勢いに乗った。健二の場合は自国との違いが特に大きい環境だったことや、"Plastic repair"が最後まで点数の発表されない種目だったことも不利に働いたかもしれない。私の目には他国の選手との違いは特になく、勝とうという意志も十分に伝わっていた」とロニー氏は語った。

また、清水氏は「前回大会に同行したサポーターやトレーナーの経験談に頼ってしまい、トレーニング内容も出題されそうなものに的を絞ってしまった部分がある。その中で弱い点が実際に出てしまったというのは我々サポート側の反省点」と話した。

評価の高かった"Consultancy task(工程管理)"

ロニー氏によると、大会のレベルは全体的に前回大会より上がっていたという。「皆が懸命にトレーニングしてきており、作業の工程や製品の使い方など細かい部分までチェックしないと判定できないほどだった。また、競技の難易度も上げていた」と話す。

菅原さんが特に高い点数を記録した競技が、ボディショップにおける効率的な環境を選択する"Consultancy task(工程管理)"だ。普段ペインターの仕事には含まれない内容であり、平均点も高くなかった。

「特に難しいと感じることもなく、自然と答えることができた」という菅原さん。ロニー氏は「規律を守る日本人としての特色が出ていると思う。普段から全体の工程を考えて作業をしているので、ハイスコアを出すことができたのだろう」と分析し「各国のボディショップでも徹底させていきたい」と述べた。

水性塗料使用率のアップ、ペインターの認知に向けて

欧米に比べ、水性塗料の使用率が低いアジア諸国。日本はその先陣を切る存在になることを目指している。

「革新的に変えようという人もいれば、様子を伺っている人、溶剤に固執している人もいる。欧州では2006年に法律で規制が入ったことにより一気にシフトした。溶剤とは作業性が変わるので、導入のハードルが低くないかもしれないが、それに慣れてしまえば効率的に塗装できるということをボディショップで説得していく」と話すロニー氏。

また、現在ではペインターの認知度や地位も確立された欧州でも、昔は汚くてつらい仕事として良いイメージを持たれていなかったという。「若者に興味を持ってもらったり、ペインターに対する意識を変えるためにコンテストを開催している。活躍する選手を見て、こうなりたいと思ってほしい」(ロニー氏)。

清水氏は「今回菅原さんが色々なメディアに登場したことで、若い人にも憧れの気持ちを持ってもらえたと思う。それだけにコンテストでの結果も注目される。今後も我々日本としては勝ちにこだわっていく必要はある」とし、「次回大会に向けて、ボディショップや選手との関係性をより密接なものにし、早い段階からサポートできるような体制を整えたい」と話した。

菅原さんに心にあらわれた変化

日本代表として出場した菅原さんは何を感じ、何を得たのだろうか。

「(入賞を逃し)悔しかったが、エルビス(スロベニア代表)やクリスチャン(ノルウェー代表)など自分の中で負けたくないと思うライバルができた。また、今までは漠然と使ってきていた製品についても、何に対してどう必要かということも学んだ。日本だけで仕事している時にはわからなかったが、文化も環境も異なるが世界中に同じ製品を使って同じ作業をしている人が大勢いるのだと実感した」という。

今後については「実際の仕事では作業をこなす台数が重要視される。これからはコンテストのように評価されることはないが、技術力を活かして処理台数日本一の会社を目指したい」と語った。

《吉田 瑶子》

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