JAXA、第1期水循環変動観測衛星「しずく」の観測データを気象庁が利用開始

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JAXA,「しずく」の観測データを気象庁に提供開始
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宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、第1期水循環変動観測衛星「しずく」観測データを9月12日から気象庁が利用を開始したと発表した。

第1期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)には高性能マイクロ波放射計-2(AMSR2)が搭載されており、観測データはリアルタイムで気象庁に送信されている。このAMSR2のデータには大気中の水蒸気や海面水温の情報が含まれていることから、気象庁とJAXAは、共同でデータの有効利用のための調査や技術開発に取り組んできた。

この結果、気象庁が発表する天気予報の基礎資料を作成する数値予報システムで、降水予測精度の向上が期待できることが確認されたことから、9月12日から利用を開始した。

気象庁は現在、米国のDMSP1衛星16号、17号、18号、JAXAと米国航空宇宙局(NASA)の共同計画であるTRMM2衛星のマイクロ波放射計データを使用している。しかし、軌道の制約から、DMSP衛星が日本の上空を通過するのは朝晩6~9時の時間帯に限られている。

また、TRMM衛星は日々観測時刻が変わるため、午後や深夜過ぎに定期的に得られるマイクロ波放射計のデータが得られなかった。大気中の水蒸気の分布は、時々刻々と変化するため、このような観測データの空白時間帯があると、その時間帯に数値予報との間の誤差が拡大する。

これら観測データの空白時間帯を埋め、水蒸気分布の誤差の拡大を防ぐ役割を果たすのが「しずく」に搭載されたマイクロ波放射計AMSR2となる。

気象庁の数値予報システムによる降水予測精度の向上が期待できることから、9月12日から気象庁の数値予報システムでAMSR2データの利用を開始する。

一方、気象庁では、地球全体の海面の温度を1日1回解析しており、この解析システムでも、AMSR2データの利用により品質の向上が見込まれたことから、今年5月27日から利用を開始している。

気象庁とJAXAは、今後も衛星観測のデータを有効活用するための開発に注力していくとしている。

《レスポンス編集部》

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