宇宙航空研究開発機構は、「新型基幹ロケットに関する検討状況」をまとめた。
新型基幹ロケットは2020年に試験機1号機を打上げる計画。2014年度は、予備設計を行い、新型基幹ロケットのミッション要求を踏まえてどのようなロケット・設備とするかを設定する。これを受けて、基本設計にも着手する。
具体的には、システム仕様設計のための飛行経路や制御系、構造系、環境条件などに関する解析作業、推進系や構造系など、サブシステムに関する設計作業のほか、風洞試験yアンテナパターン試験、音響基礎試験なども実施する。
要素試験・試作試験では、エレメント単体要素試験、ターボポンプ軸受試験、模型タンク排液試験を実施する。自律点検や非接触アンビリカルなど、新技術の要素試験も実施する。
新型基幹ロケット開発での2014年度の予算要求額は70億円。
新型基幹ロケットを開発するのは、安全保障を中心とする政府需要などに応える「自律的持続可能な宇宙輸送システム」を構築が目的。打上げコストを低減して宇宙利用を拡大し、維持費の抜本低減で政府支出を効率化する。事業規模の低減分は、商業受注や輸出拡大でカバーし、産業基盤を維持・強化する。
新型基幹ロケットの開発計画では、エンジンはシンプルで安全なエキスパンダブリードエンジンとするとともに、部品点数を削減してコスト削減を図る。
構造系では、低コストタンクの製造技術で廃棄素材の低減、部品点数の低減や、低コスト複合材を使用する。
アビオニクスでは、民間のネットワーク技術を活用するとともに、搭載する電子機器を小型化する。機体に点検機能を移して設備を簡素化する。