三菱電機は、ハワイ・すばる望遠鏡の新観測装置HSCの主要部位である主焦点ユニットを自然科学研究機構国立天文台に納入を完了したと発表した。
同天文台では今年1月31日、現地での試験観測中にファーストライト撮影に成功し、7月31日には視野全面に星像を捉える画像を公開した。
宇宙の起源、進化、未来を解読するためには宇宙の9割を占めるとされるダークマター・ダークエネルギーの性質を明らかにする必要がある。HSCプロジェクトでは、すばる望遠鏡の観測システムを高度化することでこれらの性質を世界最高精度で測定することを目指している。
すばる望遠鏡の特色は、大口径・広視野の世界最高水準の解像度。新たに製作し、望遠鏡に搭載したHSCは、従来の主焦点カメラSuprime-Camに比べ約7倍広い視野を持ちながら、良好な結像性能を保持する。
主焦点ユニットは、補正レンズやカメラユニットなどにより構成される約2.2トンの重量物を支えながら、望遠鏡のたわみを補正し、常に主鏡に対して最適な位置に数マイクロメートルの精度で位置合わせを行う6本ジャッキと、視野回転を数秒角の精度で補正するインストゥルメント・ローテータを備える。
同社では、引き続き行われるHSCの試験観測を支援していく。