イプシロンロケット、6日間の射場作業で発射可能

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イプシロンロケットの打上げのイメージCG。
  • イプシロンロケットの打上げのイメージCG。
  • ロケットの知能化を実現した機器たち。左上が機体状態監視機能・データHUB機能の「ROSE-M(マスター)」。左下は、モニタデータ収集機能・電力制御機能の「ROSE-S(スレーブ)」。右は、火工品回路点検機能・リフトオフ・分離模擬機能の「MOC」。
  • フェアリング。コーン・シリンダ半殻一体パネルとなっており、組立て工程が大幅に削減されている。
  • 試験でのフェアリングの左右に展開した様子。
  • イプシロンロケットが設置された射場のイメージCG。
  • 右がイプシロンロケットのランチャー。左はM-Vのもの。M-V時代とは異なり、イプシロンは垂直に発射する。

8月22日に初号機が打上げられるJAXAの革命的な「イプシロンロケット」。その新要素の一つが射場作業期間の短縮だ。

「ロケットの知能化」はモバイル管制の実現という大きな役割を果たしていることをお伝えしたが、同時にもう1つの革命、射場作業期間の短縮を実現する。ロケットの1段目を射座に取り付けて組立てを開始してから実際に打上げるまで、例えばH-IIAなら40日以上を要する。普通、ロケットといえば、準備から打上げまでかなり日数がかかるのが常識だ。

しかし、それを半分どころかたったの「6日間」という驚異的なまでに短くしてしまったのが、イプシロンロケットなのである(初号機は実験機のため、5月末から機体格段の射場への順次搬入、組立てなどが始まる)。それもこれもロケットの知能化により、現場での調整作業などが大幅に短縮できるためだ。

イプシロンロケットのプロダクトマネージャの森田康弘氏によれば、ロケットは将来的には「ジェット旅客機のようになるべき」という。さすがにジェット旅客機はすぐには無理だが、1か月に1度なら夢ではないというわけだ。

また射場作業期間の短縮には、「ロケットがプラモデルのように組立てられるように設計されている」という点も大きく貢献している。まだ初号機なのであらゆるパーツでそれができているわけではないそうだが、イプシロンロケットは主要なパーツの構成部品点数を極限まで減らし、工場でできるだけ大きく作って、現場での細かい組立て期間を極力省略できるように設計されているのだ。

その1例を挙げると、ロケット先端のフェアリング部分がある。これまではつなぎ合わせるボルトなどを含めれば軽く大小50点の部品が使われていたが、今回はたったの2点。左右のフェアリングをボルト止めするには1日がかりの仕事となるのだが、それを丸ごと省いてしまったというわけだ。このように、全体の部品点数を1桁は減らしているということで、その結果、現場で組立てに要する時間を大幅に減らすことに成功したのである。

イプシロンロケットの今後のスケジュールだが、5月末より機体格段を順次射場に搬入して組立てを行い、各段点検、1段者座据付け、全段点検、打上げリハーサル、そして8月22日の打上げとなっている。

《デイビー日高》

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