ベトナム北部ハイズン省にあるダイアン工業団地は、ベトナムの首都であるハノイ市と北部の主要港であるハイフォン港の丁度中間に位置おり、現在このダイアン工業団地内に日系企業専用のレンタル工場サービスが準備されている。
ダイアン工業団地のレンタル工場では最小288平方mからのレンタルという小規模からの工場進出が可能で、日本語でのワンストップサービスにも対応しており、今後ベトナム進出が加速すると見られる日本の中小企業にとっては利用価値の高いレンタル工場だ。
【ダイアン工業団地】
首都ハノイを含むベトナム北部には、大企業を初めとする多くの日系企業が進出しているが、特に日系企業の進出が多い工業団地としてはタンロン工業団地1、2と野村ハイフォン工業団地が代表的な工業団地となっている。
ダイアン工業団地はベトナム北部のハイズン省に位置しており、ハノイ市とハイフォン市を結ぶ国道5号線沿いにあり、ハノイ市からもハイフォン市からも約50kmという中間地に位置しており、ハノイ市、ハイフォン市のどちらにも1時間15分ほどで行くことが可能。
また、2014年完成予定の高速道路のインターチェンジからも10分程度の距離となっており、高速道路完成後はハノイ市から約45分で通勤が可能になると見られている。
ダイアン工業団地の総面積は648ヘクタールあり、現在36社が既に入居済み。その内6社が日系企業だという。
ダイアン工業団地概要
総面積:648ha
給水量:1万1000~2万立方m/日
排水処理:2000~4000立方m/日(2014年までに1万5000立方mに増設)
電力供給:22KVA、35KVAの2系統(更にバックアップとして110KVAを準備)
地盤強度:2トン/平方m
土地リース料:80USD/平方m
年間管理費:0.1USD/平方m/年
ダイアン工業団地の特徴
今後工業団地に入居する企業をサポートするために下記の施設の建設が予定されている。
・カナダ系企業による総合病院の建設
カナダ企業のトリップアイにより、病室200室の病院を2013年第一四半期を目処に建設、2015年から開業し、ダイアン工業団地で働く2万人以上の労働者と近隣住民を対象に医療・健康サービスを提供する予定。
・ハイズン省最大規模の高級ホテルが隣接
ハイズン省で最大の高級ホテルが工業団地から車で3分のところにあり、ホテル内には日本食レストランのFUJI SANも併設されている。宿舎として利用する場合は月額1200USDから賃貸可能。
・日系企業専用レンタル工場とサポートデスクの設置
ダイアン工業団地の敷地のうち30haを日系企業専用のレンタル工場として開発。レンタル工場は288平方m(12m×24m)のAタイプが120軒、648平方m(18m×36m)のBタイプが13軒、1,152平方m(24m×48m)のCタイプが38軒、がそれぞれ建設される予定。
まずは第1フェーズとしてAタイプ30軒とCタイプ12軒が2013年1月から建設が開始される見込み。
また、レンタル工場サービス開始にあわせてジャパンサポートデスクをレンタル工場敷地内に建設し、食堂、会議室、応接室などのスペースはジャパンサポートデスク内に設置することで工場スペースを生産活動のみに有効に活用できるように工夫されている。
また、ジャパンサポートデスクでは、ベトナムに進出する日系企業がベトナムに進出する際に必要となる投資ライセンスの取得、銀行口座の開設、労働許可証の取得、労働者の採用、ITネットワーク環境の構築、物流業者の選定などの作業を日本語でフルサポートすることが可能となっており、日系企業が本来の事業活動のみに集中できるようになっている。
・土地のリースも可能
ダイアン工業団地のレンタル工場サービスでは、より大きな規模で事業活動を行いたい企業向けに土地のリースも行う予定で、4000平方mから8000平方mの土地が2050年までのリースで80USD/平方m。
・倉庫サービス
レンタル工場に隣接して3867平方mの倉庫が4棟建設される予定で、入居企業は月単位の契約で利用することが出来る。価格は倉庫賃料が11万5500VND~12万6000VND/平方m/月で、管理費が1万4700VND/平方m/月。
現在ダイアン工業団地管理事務所内では日系企業専用レンタル工場の立ち上げの為に日本人担当者が常駐しており、担当者は「中小企業は大企業と違い現地を任せられる人材に限りがあり、駐在員がベトナムでの事業に集中できる環境を作ってあげることが非常に重要になります。私自身もハイフォンに8年間駐在していましたし、今もダイアン工業団地に隣接するアパートで1人暮らしをしながら、この工業団地に日系企業が進出する際に、現地駐在員の方を仕事面はもちろん、生活面からもサポートしていきたいと考えています」とコメントする。
ベトナム北部はこれまで大企業の進出が目立っていたが、今後は中小企業の進出が加速することが予想されており、その受け皿としてダイアン工業団地の発展が期待される。