IHIとIHIシバウラ、米国最新の排ガス規制をクリアする排ガス浄化技術を開発

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IHIとIHIシバウラ、Tier4規制に適合するエンジンシステムを開発
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IHIとIHIシバウラ(ISM)は、建機・農機他に幅広く搭載されている産業用IDIディーゼルエンジンを排出ガス規制に適合をさせるため、排気中のスス煤を捕集するフィルタ(DPF)を組み合わせて排気を浄化する技術を開発した。

今回、シリーズでラインナップする多用途のIDIエンジンとしては世界で初めてのEPA(米国環境保護庁)Tier4規制適合認証を取得した。

出力19kW以上56kW未満の産業用ディーゼルエンジンに、2013年1月1日から米国で適用されているTier4規制は、PM(粒子状物質)排出量を現行規制の10分の1(0.03g/kWh)以下に抑えること、8000時間使用後に規制値を超えないこと、別途定められた標高(5500フィート=約1650m)と外気温度での排出ガス基準を満たすという厳しいものになっている。

IHIとISMは、現行のIDIエンジンを規制に適合させるため、DPFを搭載して排気を浄化するエンジンシステムの開発を進めてきた。この結果、DPFに捕集したススを強制的に燃焼除去するバーナ「isBURN」システムを独自開発に成功した。これまで困難とされていたIDIエンジンへのDPF搭載を実現した。

Tier4規制適合技術として、排気中のススを捕集するため、DPFを搭載することは一般的だが、DPFは捕集したススの堆積によりフィルタが目詰まりするのを防ぐために、定期的に排気を高温に制御してススを燃焼除去する「再生プロセス」を組み込む必要がある。このため、電子制御によって再生プロセスを容易にコントロールできるコモンレール式直噴(DI)エンジンとの組み合わせが標準的。

DPFを搭載するコモンレール式DIエンジンは、再生プロセス中、燃え残りの燃料がエンジン内部に残るケースや、負荷が低い作業中に排気を高温に制御することが困難になるなど、使用環境や用途によってはトラブルを起こすケースもある。加えてコモンレール式燃料噴射装置自体が高価なことから、エンジンコストの増大要因となっている。

両社が今回開発したエンジンシステムでは、安価な構造で、確実にススを燃焼除去できる新開発バーナを搭載、排気温度を自由に制御できない従来型のIDIエンジンでもDPFの再生プロセスが可能になった。新開発のバーナは、エンジンのほぼすべての運転領域で作動するため、作業に支障を与えること無く、幅広い用途の機械で従来通りにエンジンを使用できる。

また、低コストの従来型IDIエンジンをベースにしているため、イニシャルコストを抑制できる。

IHI、ISMでは、このエンジンをシリーズでラインナップし、まず排ガス規制が先行する欧米の建設機械、農業機械、発電機、コンプレッサー、フォークリフト、芝草機械メーカを中心に販売を開始する。国内にも展開する予定で、3年後には5万台の販売を見込んでいる。

《レスポンス編集部》

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