【レンジローバー 新型発表】比類なきオフロード性能とクオリティ、そしてミニマリズム…建築家

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ランドローバー・レンジローバー「5.0 V8 スーパーチャジド ヴォーグ」
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大阪リッツカールトンホテルで3月の発売にさきがけて内覧会が開かれたのを機に、待望の新型『レンジローバー』を見てきた。多数の紹介ビデオが既にインターネットに流れているので、その更に磨きのかかったオフロード性能や、高級車かくあるべしと言わんばかりの贅を極めた内装などおおよその見当はついていたが、クルマはやはり実車を見なければ分からない。


◆罪悪感を払拭する軽量化

Mk IとMk IIのレンジローバーを乗り継いだ私の経験からすると、まずボディが大柄になった。後席のレッグルームの狭さがホイールベースを伸ばしたことで大いに改良されたが、前後のプロポーションを保ちながらレンジローバーらしい伝統的なシルエットを保つとすれば、全幅の拡大も含めて大型化せざるを得なかったのだろう。おかげで外観ばかりでなく内部空間も高級車に相応しいゆとりと圧倒的な存在感を得ることになった。

今度の新型で最も驚くのは、オールアルミのボディを採用したことで、Mk IIIと比べて最大400kgもの軽量化を果たしたことだ。以前のレンジローバーを運転していて一番気になったことは、1人乗っても2.7トンものクルマを動かさねばならない罪悪感があったから、これほどの軽量化はおおいに歓迎だ。ただそれでも一番軽い5.0V8のヴォーグでも2.35トンはある。この軽量化と新しい電子制御のサスペンションの効果は次回、試乗したときに報告する。


◆徹底したミニマリズム

インテリアのデザインで真っ先に気がついたのは、徹底的なミニマリズムを貫いていることだ。運転席回りに限って言えば、スイッチやボタン類が大幅に減り、シンプルなダイアルと8インチのタッチスクリーンで殆どの操作を可能にしている。いま乗っているシトロエン『C6』はF1マシンと同様なシンプル極まりないダッシュボードで気に入っているが、今後さらに複雑化するクルマの諸機能の操作系は、ヒューマンマシンインターフェイス(HMI)の観点からもミニマリズムの考え方が基本であり、レンジローバーは全く正しい方向に沿っていると言える。

外回りで好感が持てたのは、ボディの仕上がりが非常にスムーズになったことだ。走る弁当箱といわれた初代のレンジローバーからすると隔世の感ありだ。Mk Iを買ったときボディパネルの継ぎ目が1.5cmも開いているのでこれは、と問いただすとセールスマンは、「オフロードを走ったあと洗車するのに間に入った泥を流すにはこの方がいいのだ」と言い放った。軽量化も含めてこのスムーズなボディは空力特性も優れているだろうから、燃費にも貢献しているはずである。その継ぎ目は今はトヨタの製品と同じようにピシッとなっている。

もう一つ感銘したのは、ホイールアーチの出っ張りが最小限であることだ。本格的なオフロードを走ったことのある人には理解できるが、ホイールの側面とボディ側面がほぼ同一であることは、オフロード走破性を確保する必須条件であり、凡百のSUVのように大げさなホイールアーチで張り出したホイールを誇示して、いかにも頑強そうなオフローダーに見えるクルマは大抵ルックスだけで、本当に山道に入ったら身動きとれなくなるのが落ちだ。なぜなら「あの木とあの岩の間をどうやって通り抜けるか」を判断するのは、運転者から見えるボディの幅で、それと車輪(特に前輪)が同じ場所にある必要があるからだ。


◆機能的かつ合理的に考え抜かれた機能群

日本でのお披露目前に新型レンジローバーの海外でのレポートを多数読んでみたが、ある記事には「これはロールスロイスと同レベルの豪華さと品質の高さで、それに加えてロールスにはないオフロード性能がある」とあったが、後者の検証は後にテストドライブする時にとっておくとして、豪華さと品質の高さは疑問の余地はなさそうだ。特にインテリアでは、非常に手の混んだ細工の必要な部品が多数、機能的かつ合理的に考案され、すべてが破綻なく配置されている。細かい気配りも随所に見られ、ドアの上のアシストハンドルなども僅かな隙間をもたせてあって、必要な時に手がかかりやすく考えてある。ドアと言えば閉まる時に軽く押せばあとは自動的にピタッと閉まる。力任せにドーンと閉めるなどという下品な扱いはレンジローバーは好まないのだ。

日本での使用という点で気になったのはボディの大型化で、186cmの私でもシートに座るのに腰をほぼ水平に動かすぐらいだから、平均的な日本人の体型で、乗り降りがスムーズにいくかどうか。標準装備のエアサスペンションを使って、停車したら自動的に車高が最低になるような改造をすれば、日本のマーケットでも歓迎されるかも知れない。


白井順二|建築家/アーバンデザイナー
1938年生まれ、アメリカに30年居住、その間インドに1年、サウジアラビアに2年、大学で教鞭をとる。 赤坂のアークヒルズ外構設計、シンガポール高島屋設計担当、大阪梅田北ヤードコンペ優勝、 海外での環境問題の講演多数。クルマのメカニズムや運転が趣味で『カーグラフィック』誌などに寄稿多数。A級国内競技ライセンス所持。クルマでの北米大陸、インド、ヨーロッパ全域のドライブ数万キロ。
《白井 順二》

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