【タイで働く女性たち】ふるさとに似ている…犬竹ともこさん

タイで働く女性たち 第20回 「住みやすいタイ」で愛犬3匹と暮らす耐熱塗料会社勤務、犬竹ともこさん「ここ、私に合っているかも…」 生まれは東京下町、向島。隅田川東岸に位置し、江戸時代には数々の料亭が立...

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タイで働く女性たち 第20回 「住みやすいタイ」で愛犬3匹と暮らす耐熱塗料会社勤務、犬竹ともこさん

「ここ、私に合っているかも…」

生まれは東京下町、向島。隅田川東岸に位置し、江戸時代には数々の料亭が立ち並んだ風光明媚の地。義理人情に厚く、思いやりの心を持ったこの土地が、自分の生まれ故郷。タイの大地に降りて真っ先に感じたのが、「ふるさとに似ている…」という印象だった。

初めての海外旅行がタイだった。高校の卒業旅行。駐在員の叔父が赴任していたこともあって立ち寄ってみたが、意外なほど心にストンと落ちた。

以降、お金を貯めてはタイに遊びに来た。寺院や遺跡などを見て回るうちに、タイの人々の心にも接するように。「何か、ここ、私に合っているかも…」。行く先々でのコミュニケーションが何よりも楽しかった。

「一度きりの人生」 都内の女子高を卒業。友達のほとんどが大学に進学する中、あえて調理師専門学校に進んだ。子供のころから料理好きの祖母と台所に立ち、夕食のメニューを考えたり、お菓子を作ったり。自分では自然な選択だった。

卒業後、1年間、パンの製造メーカーに勤務した。好きな仕事ではあったが、もっと視野を広げたいと考え、思い切って転職することにした。

その後は、NTTや大手電機メーカーなど日本の主要な会社で通算10年余り営業サポートなどの仕事に取り組んだ。専門性もあって不満があるわけではなかったが、かつて体験したタイへの想いは募るばかり。「人生一度きり」と決断した。

体調不良に苦しんだことも

「ここで長く暮らすつもり」と、住まいと仕事を求めてタイを訪れたのが2011年1月。首尾よく家も勤務先も決まり、順調かに見えた。ところが3月に発生した東日本大震災の影響が思わぬところで波及した。

営業ノルマが厳しくなり、ドブ板の飛び込み営業が求められた。今まで一度も体験したことのなかったアトピーの症状が全身に出るようになったのは、それから間もなく。体調不良が続いた。

身体を壊してしまっては元も子もない。やむを得ず退社し、次の仕事を探した。こうして巡りあったのが、現在勤める耐熱塗料の販売会社。

社長からは「グループ感覚でやってくれればいい」と声をかけられた。似たような仕事のスタイルは日本で経験済み。「そういうことならできそうだ」。アトピーの症状も、みるみる引いていった。

「良い隣人に恵まれました」 日本人の常勤社員は自分一人。だから、困った時やトラブルになった時も一人で解決しなければならない。でも、一定の裁量を持たされ、縛りもなく、自由に仕事ができる点が何よりも自分に合っている。その点、感謝の気持ちを忘れたくない。

休みの日は友達とテニスをしたり、愛犬ジャック・ラッセル・テリア2匹とゴールデンレトリバー1匹の世話をしたりと忙しい。うち2匹は、もともと日本の実家で飼っていたが、渡航を決めた時、母から「自分で育ててね」と求められタイに連れてきた。

ジャック・ラッセル・テリアはイギリスが原産の小型犬。好奇心が旺盛で気性が荒いところもあるが、猫のようにソファーの上で眠ったりするなど、欧米ではペットとして広く愛されている。

そのうちの1匹が過日、自室を飛び出し行方不明に。隣家のおばさんと息子が捜索を手伝ってくれたところ、近くのバイクタクシー(モーターサイクル)のお兄さんが保護してくれていたことが分かった。「本当に良い隣人たちに恵まれました…」。愛犬を膝の上に乗せ微笑む姿が眩しかった。

タイで働く女性たち 第20回 「住みやすいタイ」で愛犬3匹と暮らす耐熱塗料会社勤務、犬竹ともこさん

《編集部》

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