北米で年始に開催された家電・電子機器の総合展示会CESでは、クアルコムがワイヤレス充電が可能はロールスロイスを発表して話題をさらっている。ここ日本のオートモーティブワールドの会場では、『デルタ E-4』のワイヤレス充電対応車両が展示中だ。
デルタ E-4は、カーボンコンポジットフレームなどによる軽量化と後輪のインホイールモーターによって、最高速度240km/hを誇るEVスポーツカーだ。クアルコムは独自の磁気誘導システムによる充電システムを開発しており、ロールスロイスやデルタE4などに実装している。システムはシンプルそのもので、充電器の代わりに巨大な玄関マットのような給電部を駐車スペースなどに設置し、充電ソケットの代わりに車のフロア下面(外側)に受電部を取り付ける。これで、給電部の上にとまった車に自動的に充電を開始できる。充電の制御は難しいが、システムの構造はシンプルなため、設置場所の自由度も増す。
クアルコムでは、このワイヤレス充電技術をライセンスすることでビジネスを展開している。そのため、エンドユーザーがどのようにこのシステムを利用するかは、ライセンスを受けた企業(ライセンシー)のビジネスモデルによるそうだ。大企業が社用EVの充電機として導入したり、自治体や企業がバスやタクシーの充電器として使うかもしれない。自家用車の充電器として市販する企業も現れるかもしれない。
気になる充電能力だが、特定の製品や機器を製造するのはライセンシーであり、各社が目的や用途に合わせた容量、規格で設計製造することになるので、クアルコムとしては具体的なスペックは持っていない。しかし、目安としては、有線接続の充電器のおよそ90%の性能は出せるとしている。