2010年12月、東京都大田区内の都道で乗用車を運転中に歩道乗り上げ事故を起こし、歩行者とクルマの同乗者など7人を死傷させたとして、危険運転致死傷罪に問われた21歳の男に対する裁判員裁判の判決公判が16日、東京地裁で開かれた。裁判所は危険運転罪の成立を認めず、自動車運転過失致死傷罪を適用し、懲役7年の実刑を命じている。
問題の事故は2010年12月26日の午後9時45分ごろ発生している。大田区田園調布本町付近の都道を走行していた乗用車が前走車を追い抜いた際にスピン。コントロールを失ったまま路外に逸脱し、道路左側の歩道に乗り上げて信号待ちをしていた人たちに突っ込んだ。
この事故で歩道にいた9歳と5歳の男児が収容先の病院で死亡。2人の男児の祖父母が骨折などの重傷。事故を起こしたクルマに同乗していた男性3人が軽傷を負っている。警察はクルマを運転していた男を自動車運転過失傷害の現行犯で逮捕した。
その後の調べで、男はクルマを運転中に車内で流していた音楽に合わせ、何度も前走車を追い抜いていたことが判明。制限速度を大幅に超過した状態で走行していた可能性もあり、直線路で発生した事故としては極めて異例となるが、検察は罪状を危険運転致死傷罪に変更した上で男を起訴していた。
17日に行われた裁判員裁判の判決公判で、東京地裁の大野勝則裁判長は被告の蛇行運転を否定。急ハンドルを切った原因について「音楽に合わせ、体を揺らしていたことによるもの」と認定した。
また、路外逸脱直前の速度については「70km/hを相当上回っていた状態」と認めたが、一方で「制御困難な速度だったとはいえない」として危険運転罪の適用は認めず、自動車運転過失致死傷罪で最高刑となる懲役7年の実刑判決を言い渡している。