10月31日をもってバス事業を廃止した井笠鉄道(岡山県笠岡市)は岡山地裁に破産を申請し、11月5日に破産手続開始決定を受けたことがわかった。負債総額は約32億6000万円。
東京商工リサーチによると、井笠鉄道は10月12日に中国運輸局岡山運輸支局へバス事業の廃止届を提出し、中国バス、北振バス、寄島タクシー等へ代替運行を要請、10月31日付で全従業員を解雇していた。
同社は1911年7月に設立、1913年11月から鉄道事業を開始して地域交通を担っていたが、1971年に鉄道事業を廃止。以降はバス事業を主たる事業とし、岡山県西部から広島県東部地区の乗合バス事業を中心に行ってきた。
バス事業としては1981年3月期に売上高約22億円を計上していたが、地域人口の減少、自家用車の普及により2012年3月期には年間乗合輸送人員は213万4000人(ピーク時は1968年3月期の1550万人)まで減少した。2012年5月から事業廃止に向けて協議を開始したが、同年8月には運転資金の欠乏から従業員への給料遅配が発生、10月12日にバス事業の廃止を発表し、このたび事業移管の目処が立ったとして法的措置に至った。