富士キメラ総研、プラスチックフィルム・シート市場の拡大を予測

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富士キメラ総研は、食品容器・包装、エレクトロニクス、電子材料、自動車、エネルギー・環境分野など、様々な用途で使用されているフィルム・シート市場を調査し、結果を報告書「2012年プラスチックフィルム・シートの現状と将来展望」にまとめた。

調査では汎用樹脂やエンプラ、スーパーエンプラなどを素材とした多種多様なフィルム・シート55品目の市場を調査・分析した。品目によって国内市場、世界市場で捉えている。

55品目合計の市場は2011年が2兆9283億円で、2015年には3兆2565億円を予測する。

注目の市場では、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)フィルムの世界市場は2011年が137億円だったのが、2015年には257億円に拡大すると予測する。

PVDFは熱可塑性フッ素樹脂の一つで、従来は内外装材などの建材用途での採用が中心だったが、現在は太陽電池のバックシート材料としての出荷がメインとなっている。バックシート材料には、同じフッ素樹脂であるPVFフィルムが採用されているが、最近の急激な太陽電池市場の拡大により供給がタイトになったため、代替品として採用されるケースが増加、需給がひっ迫するほど需要が拡大している。

また、アラミドペーパーの2011年の世界市場は236億円だったが、2015年には379億円を予測する。

アラミドペーパーは、難燃性、自己消火性、高耐熱性等に優れることから変圧器(パワーコンディショナー)や、ハイブリッドカー(HV)/電気自動車(EV)のモーターの絶縁材料として採用が進み、市場が拡大している。東日本大震災やタイの洪水の影響により、エレクトロニクス分野の需要が減少したが、パワーコンディショナー向けなどの堅調な需要と、HV/EVモーター向けの需要増により市場が拡大した。他素材との競合により伸び率の鈍化が考えられるが、2012年以降も市場は拡大すると予想する。

PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムは1989年に帝人が開発した樹脂フィルムで、PETと比較して価格は高いものの、耐熱性、寸法安定性、強度、耐久性、電気特性など、あらゆる性能で優れている。

2011年の世界市場は、4350トン、194億円となった。出荷量の60%以上を占めるLTOテープ(大容量高速テープ)向けが減少したが、HV/EVモーターの絶縁材料向けや、有機系太陽電池のバックシート材料向けなどといった成長市場の用途開拓が進んだため、市場は拡大した。

今後もHV/EVモーターの絶縁材料向けは、需要拡大が見込まれる。また、有機EL基板や、次世代太陽電池(色素増感型、有機薄膜型)バックシート材料としての評価が高く、採用が有望視される。これらのアプリケーション市場の本格化が早まると、市場はさらに高成長で推移する可能性があり、2015年には249億円を予想する。

《レスポンス編集部》

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