小型トラックの『キャンター エコハイブリッド』がフルモデルチェンジを受けた。新型車にはダイムラーから供与されたデュオニックと呼ぶデュアルクラッチ式トランスミッションと、ハイブリッドシステムを組み合わせた独自のメカニズムが採用された。
このハイブリッド用モーターを内蔵したトランスミッションは、世界初のメカニズムとのこと。更にエネルギー効率に優れたラミネートタイプのリチウムイオン電池を新たに採用して、ハイブリッドシステムの効率向上させるとともに、小型軽量化を図っている。
発進はモーターだけで2速ギアを使ってゆるゆると走り出す。通常のブレーキを採用しているため、エンジンも回った状態で走り出していく。デュアルクラッチなので、クラッチペダル操作に神経を使うことなくスムーズな発進が可能だ。
アクセルを踏み込んだときの加速レスポンスは、はっきり言ってもうひとつの印象。これは燃費を重視したハイブリッド車ならではの味付けということもあるようだ。加速に乗った後は、クリーンディーゼル+電気モーターによって良く走る印象に変わる。
アクセルを緩めるとすぐにエネルギー回生が始まり、ぐっという感じで回生ブレーキが強く働くのが体感できる。これも燃費志向のために回生を強めているからで、電気の出し入れがスムーズなリチウムイオン電池を搭載することも効率の良さにつながっている。
ステアリングの操舵(そうだ)感のやや不確かさやピッチングの強さなどは、乗用車とは比べるべくもないトラックのものだが、荷台にしっかり荷重をかけた状態で走らせてもリッター当たり10キロメートル弱を記録した実用燃費は大したもの。
カタログ燃費も従来のモデルに比べて大幅に向上しており、ユーザーが容易に元が取れるハイブリッド車に仕上げられている。
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。