JAXA、LNGエンジン基礎技術を確立、NASAの性能上回る

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推力10t級のLNGエンジン
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宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、汎用性のあるLNGエンジンの実現に向けた基盤技術の研究開発で目標を達成したと発表した。

政府は2010年3月、将来の国内外のロケットの推進系や軌道間輸送機などの推進系としての適用が見込まれる「汎用性のあるLNGエンジンの実現に向けた基盤技術の確立」を目指した研究開発を進めることを決め、JAXAが中心となって研究開発を続けてきた。

JAXAでは、LNG推進系の利用可能性の拡大が見込まれる3~4t級へ小推力化したエンジンを設計、試作した。燃焼試験では有害な振動は発生せず安定に燃焼した。さらに推力10t級エンジンの開発では、獲得した技術が幅広い推力レベルへの適用可能であることを確認、LNG推進系基盤技術の汎用性を実証した。

推力10t(約1MPa)級エンジンからの高圧燃焼化に向け、カギとなるアブレータの耐久性にかかるデータを取得した。加えて要素試験(アブレータ高圧耐久性データ取得試験)で、米国のアブレータエンジンに迫る4MPa程度まで対応可能なことを確認したほか、エンジン燃焼試験では3MPa弱まで確認した。これによってエンジンの小型化につながるLNGエンジンの高圧燃焼化に目処が付いた。

燃焼効率は96%(推力10t級エンジンで91%)を達成し、開発着手時の目標性能は94%)を上回ることを実証した。ロケット上段や軌道間輸送機などへの適用に向けて必要な再着火などの高機能化技術データも取得した。基盤研究として、燃焼試験に対応した数値解析、噴射器エレメント可視化試験により、燃焼に関する解析技術・可視化技術を向上した。これら燃焼性能の大幅な向上の達成により、高機能、高性能なLNGエンジンに関する基盤技術を獲得できたと、している。

また、宇宙空間を模擬した環境での試験では、初めて実機サイズのLNGエンジンを使って高空燃焼試験を実施した。試験結果の比較により、高精度にノズル性能予測が行えることを確認、耐熱性などノズル設計における技術データを取得できた。NASAの実績以上のエンジン性能を達成できたと、している。

JAXAでは国際的な優位性を持つ日本のLNG推進系技術をさらに確固たるものにするため、今後、設計技術の向上などの基礎的な研究を実施する。

《レスポンス編集部》

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