HVの燃費数値を上げるには、回生量をいかに増やすかが鍵になる。新型「キャンター エコ ハイブリッド」では、ふそう/ダイムラーが「DUONIC」とよぶDCTに工夫がなされた。商用車が多用するアウタークラッチ(偶数段)側にモーター兼ジェネレーターを組み合わせたのだ。
平坦路であればフル積載時の発進も「エンジン3速」+「モーター2速」でこなし、その後の増速により「エンジン3速」+「モーター4速」→「エンジン4速」+「モーター4速」と、「エンジン6速」+「モーター6速」までこの変速を繰り返すことになる。減速時はその逆となるのだが、一般道での走行となるとアウタークラッチ側はほぼ4速だ。
「通常走行ではモーター6速よりもモーター4速が主。なかでも都市部の幹線道路では「エンジン5速」+「モーター4速」を多用する」(三菱ふそう・実験部)という言葉の通り、試乗会の推奨設定コースでは、この「エンジン3~5速」+「モーター4速」での走行時間が非常に長かった。
新型「キャンター エコ ハイブリッド」の肝は、この「アウタークラッチ側4速」。前回のレポートのとおり、アクセルの踏力を緩めると、その量に応じて回生モードに入わけだが、4速ギヤは駆動/回生ともに頻繁に使うことを前提にギヤ比を設定しつつ、高回転高出力型モーターとの相性も高められている。よって、駆動/回生どちらの場面であってもモーター兼ジェネレーターの効率を上げることができるのだ。
通常減速時の「モーター4速」回生領域は概ね65~20km/h。加えて、約20km/h以下の速度域においては「偶数段プリセレクト」により「モーター2速」へシームレスに受け継がれるため、10km/h以下の極低速域まで効率よく回生機能を働かせることが可能。12.8km/lは最後の一滴まで回生力を搾り取るDUONIC+HVの賜物だ。