『リーフ』のユニットを用いてEV楽しさを表現できるものを、ということで、日産から相談を受けたニスモがつくりあげたのが「リーフNISMO RC」だ。エコの象徴といえるEVであるリーフをベースに、反エコの象徴といえなくもないレース仕様をつくったという点でも興味深かったのだが、これでレースをするとどうなるか?
音については、車内では速度の上昇にともない音程の上がるインバーターの音など意外と楽しめるのだが、外だと風切り音とタイヤの音しかしないので、観る側にとっては音の部分での盛り上がりに欠けそう。しかし、静かだからこそ例えば市街地をクローズしてのレースも可能だし、ゼロエミッションなので屋内でのレースも可能となるといった新たな可能性を秘めているのだ。
グッと低いポジションのバケットシートに収まりドライブすると、これぞ「カート感覚」といえる操縦性が素直に楽しかった。そして運転するうちに感じたのは、これはドライビングテクニックを学ぶのに最適なツールではないかということだ。非常にセオリーに忠実な動き方をするからだ。
車体剛性が高く、軽量なので、操作に対するクルマの反応が極めてリニアで、かつ把握しやすい。また、内燃機関だと低速トルクがないが、モーターは回り出した瞬間から最大トルクを発生することができるので、右足の動きとダイレクトにリンクした駆動力により、荷重移動によってクルマがどう反応するのかも、より直感的に体感することができる。このクルマを用いたレーシングドライビングスクールがあってもいいと思う。
要望としては、やはりさらなるパワーアップと、LSD(リミテッド スリップデフ)の装着。LSDがあれば、このトルクを活かして自由自在に操れるドリフトマシンが完成しそうだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度(?):★★★★★
岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年富山県滑川市生まれ。学習院大学卒業後、生来のクルマ好きが高じて自動車メディアの世界へ。自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の記者を経てフリーランスへ。近年はWEB媒体を中心に活動中。「クルマ好きのプロ」として、ユーザー目線に立った視点と幅広い守備範囲を自負し、レスポンス試乗記には他媒体では諸事情により書きにくい本音も!?