ナビエリートの機能を説明するには「純正ナビと同じ」の一言でもほとんど足りてしまうのだが、それでも主な特徴は紹介しておきたい。
地図は2D、3D両方の表示に対応した見やすいもので、通信で地図をダウンロードする他社のカーナビアプリのようなそっけなさはない。特に全国詳細地図を表示したときの詳細な表示は、これまでのiPhoneアプリの常識を破るものだ。
◆長年ナビを作ってきたメーカーのノウハウを感じさせる
交差点の拡大表示、インターチェンジなどの3D詳細図、レーン情報などの各種ガイド機能も満載されている。さらに、Door to door機能も搭載。これは目的地のほとんど目の前に近いところまで、細い道路でもしっかりとナビをしてくれる機能。これも純正ナビの機能をそのまま移植したものだが、iPhoneのカーナビアプリでこれほど目的地の近くまでナビしてくれるアプリは他になかった。
他のカーナビアプリとの違いという面でいえば、使用に際して通信が不要という点も大きな特徴だ。これまでにも地図が本体に保存されるアプリはあったが、目的地検索やルート検索も通信不要というアプリはなかった。ナビエリートはオンデマンドVICS以外の機能はすべて通信なしで使える。このおかげで電波状態を気にせず使えるというだけでなく、操作に対するレスポンス、スクロール速度も非常に高速だ。
実際に使ってみると、その完成度の高さを改めて実感する。それは例えばルートから外れてもリルートが非常に高速であるとか、音声ガイドが非常に聞き取りやすいとか、あるいは交差点拡大表示で2画面になっても、必要ならすぐ1画面に戻せるなど、小さなことの積み重ねで実現されている。こうした細かい使い勝手は、長年ナビを作ってきたメーカーのノウハウを感じさせる部分だ。
◆機能を考えればコストパフォーマンスは圧倒的
ただし、シビアに純正ナビと比較すれば改善が必要に感じる部分もある。まずひとつは測位精度。これは速度信号の入力がないのだから仕方がない。ただし、これはあくまで純正ナビと比較した場合。iPhone4で利用する場合は、端末内蔵のジャイロセンサーも補助的GPSの情報活用しており、iPhoneアプリのライバルとの比較ならむしろ測位精度は高い。
もうひとつ慣れを要するのは画面の大きさだ。地図の見やすさは問題ないのだが、意外と影響があるのが操作性。7インチ前後のサイズを想定して作りこまれたインターフェースはボタン(特に50音)が小さめだ。iPhone専用のインターフェースにすれば解決するが、そうすると広く親しまれている純正ナビと共通の操作方法というメリットが失われてしまうことになる。
いろいろと要望も書いてしまったが、これは裏を返せば機能が本格ナビに限りなく近い、あるいは一部では凌駕さえしているナビエリートゆえ。iPhoneのUIにすり寄らずに、車載ナビのポリシーを貫いていることが独自の世界観と完成度に結びついていることは間違いない。ナビエリートの価格は3800円。汎用の通信端末でこれだけの機能が利用できるのだから、AV一体機と比較してもそのコストパフォーマンスは圧倒的といえる。