【東日本大震災】ボランティア参加ルポ…要望とのギャップに悩む

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2日目からのボクの任務は、避難所をまわって困りごとを調査する「アセスメント活動」の移動車両ドライバーをすることだ。1チームは3人で構成され、2チームの計6人を三菱『デリカD:5』に乗せ、仙台市内の拠点から宮城県南部の亘理町へ向かった。

目的の避難所で順次チームを下ろし、その避難所が終わると次の避難所へ送り届けるのを繰り返す。この日は2チームで合計4か所の避難所でアセスメントをおこなった。

ボランティアスタッフは被災地をまわるプロでもなければ、カウンセラーでもない。「何かをしたい!」とボランティアに志願した、大学生を中心とする若いメンバーだ。だから避難所をまわることには多くの神経を使う。被災地という非日常での活動だけに、心理的・肉体的負担はきわめて大きいのだ。だから、活動を効率的に行うため、アセスメントに当たるスタッフとは別にドライバーが求められるのである。

避難所側がボランティアに求めるのは、即効性だ。そこに避難している人たちからすれば、避難所を訪れるボランティアに求めるのは「何を持ってきてくれたのか?」とか「すぐに何をしてくれるのか?」である。

しかし、私たちの団体の活動は「避難所での困りごとを探し出し、その要求を満たせるボランティアに繋ぐこと」なので、避難所側からの期待との間には乖離がある。その温度差というか、すぐに何かをできないもどかしさは正直言ってつらい。地道な活動が避難所の人々の環境を快適にしていくと信じて活動するしかないのが現実だ。

避難所での要望のひとつに「就学前の子供の面倒を見てほしい」というものがあった。これまでは小学生などが避難所内で小さな子供の面倒を見てくれていたが、学校が始まってそれができなくなってしまったのだという。そのために、小さな子供を持つ母親は家の片付けに出かけることができないのだそうだ。

食事などはしっかり取れるようになり、生きていくために最低限必要なものは間に合うようになった現段階以降は、そういったニーズにも対応する必要がある。このステップで被災地において求められているのは、「日常の生活を取り戻すためのモノと環境」である。そこには、コーヒーやタバコなど嗜好品も含まれるだろう。

仙台よりも南の地域は、物流に関しては概ね回復している。避難所の周囲も、販売店や飲食店もほぼ通常通りに回復していて、コンビニの品揃えもいつもどおり。海から少し離れるだけで、ほぼ日常に見える世界が広がっている。日常と違うのは、海に近づけば街が流され、避難所には家を失った人々がいるということ。その、“日常”と“日常のすぐ近くにある非日常”とのギャップの違いに驚かされるばかりである。

アセスメント活動を終えて仙台に戻る途中、車窓からはきれいな夕日を見ることができた。しかし、太陽にはかすみがかかり、ぼんやりとしていた。そういえば、昼間も晴れてはいたのだが、スッキリした青空というよりはもやがかかった空だった。阪神淡路大震災を経験したボタンティアスタッフによると、これが地震の被害を受けた地域の空なのだそうだ。粉塵が舞い上がり、スモッグのようになるのだという。
《工藤貴宏》

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