首都高速中央環状線山手トンネル内で7月17日に発生した内照式案内看板の落下事故で、首都高速会社で組織した事故調査委員会(委員長=池田尚治横浜国大名誉教授)が13日、報告を行った。
落下したのは、幅4.5m、高さ1.7mの出口分岐を案内する案内看板。山手トンネル内の外回り15.3kmポスト付近の湾曲する天井に取り付けられていた。
調査委員会は看板取付用の鉄枠を固定していた打込式ピン20本が全て引抜けていたことに注目。
メーカーが実施した打込式ピンの引抜き試験結果と、実際に現地で施行された打込式ピンの引抜き抵抗力にばらつきがあり、打込式ピンに作用する引き抜き力を下回るものが存在することを明らかにした。
看板の取付金具を支える20本の打込式ピンで回収された10本には、破談や変形、ピンそのものの規格のばらつきはなかった。また、引抜けた穴の調査でも、打ち忘れや穴の大きさが大きすぎる、深すぎるなどの施行の不具合もなかった。
調査委員会の計算結果によると、案内板の重量は取付金具の重量と合わせて1.6t。打込式ピン1本当たりに作用する引抜き力は2.43kN(キロ・ニュートン)。
「打込式ピンに所定の引抜き抵抗力3.2kNがあれば、看板は引抜けなかった」と結論付けた。
ただ、打込式ピンを製造した日本法人担当者は「看板の工事、設計に関わっていないので、今はコメントしようがない」と、話した。
落下看板は本線上に取付金具ごと落ちているところを、トンネル内をモニター監視する同社社員が発見した。発生時刻が深夜2時45分頃という交通量の少ない時間で、落下看板に衝突するなどの交通事故は免れた。