『フリード』はダウンサイジング志向のミニバンユーザーに大いに受けて、登場以来コンスタントに売れている。
そんなフリードから3列目を取り去るというのは、武器の一部を失うことにしかならないのではと思っていたのだが、やり方が上手ければそうとは限らないことが『フリードスパイク』を見てわかった。
とりあえず3列シートがあれば、いざというときには重宝するが、その使用頻度が少ない人にとっては、スパイクのようになっているほうがずっと使い道の可能性が広がるはずだ。
まず、フリードにはもともと「FLEX」という2列シート&5人乗り仕様が存在して、そちらの2列目はシート全体が跳ね上がるタンブルシートになっているのに対して、スパイクは『フィット』のウルトラシートに近い感じで床下格納されるワンモーションダイブダウンリアシートが与えられている。
さらに、荷室長も最大で2mを超えるスペースをつくりだすことができるし、反転フロアボードや、リアサイドユーティリティと名付けられた多彩な収納スペースなど、FLEXにはない数々の特徴を持っている。
こうなっていたほうが多くの人にとって、シートが3列あることよりも、前記の「いざというときに重宝する」の意味するものが、はるかにバリエーションがワイドになると思う。
ただし、スパイクの後付け感の強いエクステリアは、個人的にはあまり好きになれず……
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年富山県滑川市生まれ。学習院大学卒業後、生来のクルマ好きが高じて自動車メディアの世界へ。自動車情報ビデオマガジンの編集部員、自動車専門誌の記者を経てフリーランスとして独立。ユーザー目線に立った視点と、幅広い守備範囲を自負し、「クルマ好きのプロ」として、近年はWEB媒体を中心に活動中。レスポンスの試乗コメントでは、他媒体では諸事情で書きにくい「本音」も吐露!?