『C3』のようなクルマに乗ったとき、改めてクルマは家電製品と同じようにはならないと思うのだ。それは、クルマというものは使い勝手の良さやエコ嗜好だけで選別するものではないということ。
C3に乗ると、心が晴れる。新しい何かが身体の中に始まったような気持ちになる。脳内のホルモン分泌系に影響を与えそうなくらいに爽快な気分になる。『MINI』にもそのようなオーラが存在するよね。だから、MINIにも熱狂的なファンが存在するのだろう。それと同じ種類のクルマだと思う。
そう思わせる一番の要素は、頭上高くキャノピーのように被ったフロントウィンドウ。オープンにもない素晴らしい景観だ。スクリーンの湾曲も極めて小さい。
二番目の要素は、これぞシトロエンと感じさせる個性ある超ソフトなサスペンション。ステアリングを切り始めると、まずフロントサスペンションのロールが始まる。つまり、すぐに応答してフロントセクションにヨーモーメント(横方向の動き)を発生させることが“善”と考える最近のモデルとは一線を画す。「そう、昔のシトロエンはこうだったよね」と、思わず独り言。ロールもしっかりとする。昔と違うのは、そんなにソフトで動くサスペンションのくせにスタビリティーがしっかりとあり、安心感が高いこと。そして、とても進化したボディー剛性。
エンジンは、シトロエン、プジョー、BMW(MINI)の共同開発品でまったく問題のないレスポンス。C3のキャビンではエンジン音も静かだった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア・居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
松田秀士|レーシングドライバー/モータージャーナリスト/僧侶
スローエイジングという独自の健康法で53歳の現役レーシングドライバー! SUPER GTをランボルギーニ『ガヤルド』で戦っている。INDY500 など海外レース経験も豊富で、確かな知識と国際感覚でクルマの評価を行う。2009-2010日本カーオブザイヤー選考委員。