三菱自動車は30日、東京・芝の本社ショールームで三菱『500』誕生50周年記念イベントを行った。冒頭、挨拶に立った益子修社長は「今回の50周年を記念に、三菱500を改めて調べ、そのエピソードに感銘した」と述べた。
同車は前身の新三菱工業が1960年に発売した量販小型乗用車で、「零戦」など航空機を設計したエンジニアが開発したクルマ。三菱自動車の原点とも言えるものだ。しかし、それが世の中に出るまで過程は決して順風ではなかったそうだ。
1959年10月の全日本自動車ショー(現・東京モーターショー)での披露を目前とした9月、伊勢湾台風が生産工場である名古屋製作所大江工場を直撃。三菱500の試作車や生産設備が水浸しになり、とてもショーに展示できる状態ではなくなってしまった。しかし、三菱の開発車はそれにめげず、突貫工事で何とか展示車を作り直し、ショーに間に合わせたという。
「今回のイベントがなかったら、こうした話を知ることもなかったと思う。先輩たちのクルマづくりへの強い意気込みや情熱を知るよい機会を得たことに感謝するとともに、その思いに恥じないクルマづくりをしていきたい」と益子社長は熱い眼差しで語っていた。