タクシー会社「名古屋エムケイ」(青木信明社長)に対して、初乗り運賃は現状の400円(1.3km)ではなく、430円に値上げするべきと査定額の通知した国土交通省中部運輸局に対して、同社は名古屋地裁に提訴。現状の運賃を維持した運賃認可を求めた。
タクシー運賃は、国土交通大臣による認可制で、地域ごとに上限運賃と下限運賃の範囲を設定している。同社のある名古屋地区の中型車運賃は、上限500円~下限450円(1.3km)だ。
名古屋エムケイはそれよりはるかに安い400円。タクシー会社が、国土交通省が定める自動認可運賃の範囲内で運賃を決める場合は、細かい審査はなく、自動認可運賃となる。しかし、同社は、運賃が安すぎるという理由で、1年ごとの限定認可となり、毎年、営業実績などを提出した上で、継続審査を受け、運賃の査定額通知を待たなければならなかった。
その結果、7月24日、中部運輸局は、査定額の通知を行い「430円が適正な原価に適正な利潤を加えたものである」(同局旅客第二課)として30円値上げするよう通知した。同社が430円以上に運賃改定をしない限り、認可は8月10日で切れ、営業不能となる。
「当社は安かろう悪かろうでない。ドライバー教育に力を入れ、車両を新しくし、運賃が安くても経営が成り立つように、GPS配車や専用乗り場を確保して企業努力を続けている」と、名古屋エムケイは話す。
さらに「いくら初乗りを上げて単価を上げても、値上げで客離れが進めば、総売上は上がらない。中部運輸局の査定は企業努力を考慮してない」と、訴える。
中部運輸局は「乗客の利便の確保、輸送の安全の確保の点から(同社の初乗り400円は)安全を阻害する」と、主張する。