【SLS AMG 日本発表】アルミスペースフレームとFミッドシップ

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SLS AMG
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メルセデスベンツ『SLS AMG』が、その先代モデルである『SLRマクラーレン』と比べ、遥かにリーズナブルな価格(それでも2430万円は庶民には夢の夢だが)を実現しているのは、そのシャーシ構造によるところが大きい。

SLRマクラーレンはマクラーレンの工場で手作りされたドライカーボン製のパーツを1つ1つ組み付けていたのに対し、SLS AMGはアルミツインチューブを基本構造にしたスペースフレームで、その上にアルミ合金製のスキンを被せるといった構成となっている。組み立てはかなりの部分で手作業となっていても、部品の製造ははるかに量産性が高いために生産コストは大幅に抑えることができるのだ。

ガルウイングドアを支えるためにもルーフ部分だけでもかなりの剛性が要求されると思われるが、ボディの96%にアルミ合金が使われており、使われる部分によって押し出し材やプレス材、鋳造部品を組み合わせて効率化が図られている。そのためボディの大きさはほぼ同等でありながら、SLRマクラーレンよりも軽い車重(1620kg)に収まっているのだ。

もっともこれはパワートレイン系のダイエットも効いている。SLR AMGは55系のSOHC3バルブユニットをベースにしていたために、スーパーチャージャーを2機も搭載していたし、5速ATの容量確保のためには、ある程度の重量を余儀なくされていた。

ドライサンプ化により低くマウントされたエンジンは、トランスアクスルレイアウトによってトランスミッションがリヤアクスル後ろに置かれたことで、完全なるフロントミッドシップも実現している。エンジンとトランスミッションをつなぐトルクチューブはアルミ合金の鋳造で、内部には4kgしかないカーボンファイバー製のプロペラシャフトが仕込まれているといった具合だ。

サスペンションはコンベンショナルな4輪Wウイッシュボーン。しかし、ハブキャリアや上下のAアームはアルミ合金の鍛造製で、支持剛性も相当に高そう。フロント19インチ/リア20インチの大径ホイール内の空間を活用した大きなアップライトを見ただけで、上質感のある乗り心地と安定感のある走り、シャープでスムーズなハンドリングを両立していそうだ。

前後の重量配分の最適化や、重量物の重心への集中化、低重心&高ロールセンターなど無理のないシャーシ設計が、SLS AMGに高次元の走りを実現させている。このシャーシのポテンシャルは相当に高そうだ。

《高根英幸》

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