パターンノイズと乗り心地に差が出た
アジアンタイヤと有名ブランドタイヤとの差は、「快適性」の面で一層明確になる。
まず乗り心地。アジアンタイヤのスターファイア「RS-C2.0」は路面の凸凹を忠実に拾う傾向がある。特に高架橋の床板の継ぎ目を踏んだときの突き上げ感はかなり大きく感じられた。一方、標準装着タイヤ(ダンロップ「SPスポルト230」)は角が取れたような感触だ。
ロードノイズとなるとその違いはさらに大きい。標準装着タイヤの場合、高速巡航時のノイズは「コーッ」という遮音の効いた音であるのに対し、アジアンタイヤのスターファイア「RS-C2.0」のほうは「サーッ」とやや甲高い音。このパターンノイズと思しき音は走行速度にかかわらず耳に付くのが気になった。10年ほど前のグリップ重視のタイヤの音といった印象だ。
こう書くと、アジアンタイヤの快適性は低いと思われるかもしれないが、さにあらず。履き替えた直後こそ突き上げの強さやノイズに驚いたが、高速道路や市街地をしばらく走り、RS-C2.0の感触に慣れてくると、次第に「こんなものかも」と感じられてくる。
また、きちんとしたタイヤショップの技術で組み込みさえすれば、特定の速度域での微振動なども皆無。今回の取付けをお願いしたフジスペシャルブランド横浜店では、装着時にホイールバランス調整もしっかりおこなってくれた。
◆日常使いなら性能面で問題なし
また、トレッドの中央に太いブロックが配されていることもあってか、100km/h+α程度の速度であれば直進性は特に問題はなく、ステアリングの切り始めの反応も素直だ。大規模なスーパーコンピューターを用いて設計される最新のタイヤには負けるが、タイヤに求められる基本性能はきちんと満たしていると言える。
売れ行き好調なアジアンタイヤ。今はもっぱら、価格の劇的な安さで選ばれているのだが、単なる安物という状況が今後もずっと続くとは限らない。タイヤの性能は騒音、耐久性、燃費など多くの部分で進化が行き着いている感がある。
新興国メーカーが技術力を上げ、現行品より高性能なタイヤを安く供給するようになれば、現在の一流ブランドは難しい立場に追い込まれる可能性は十分にある。中韓、東南アジア諸国のタイヤメーカーが今後、技術開発や設備投資をどのように展開していくか、その動向は注目に値する。