イタリアのパガーニ社が2009年1月に発表したスーパーカー、『ゾンダR』。同車の販売開始に合わせて、動画共有サイトでは、オフィシャルコマーシャルが公開されている。
パガーニ社は、アルゼンチン生まれのオラシオ・パガーニ氏が設立。1999年にスーパーカー、『ゾンダC12』を発売した。パガーニ社はその後、『ロードスター』、『ゾンダF』と、ゾンダを絶えず進化させてきた。そして、ゾンダの名前を一気に有名にしたのが、2007年9月のドイツ・ニュルブルクリンクでのタイムアタックである。
ゾンダFはニュルブルクリンクを、7分27秒82秒というラップタイムで周回。ポルシェ『カレラGT』が2004年7月に記録した7分28秒を上回る、当時の市販車最速ラップをマークしたのだ。
今回、販売が開始されるゾンダRは、このゾンダFの性能をさらに進化させ、サーキット走行用に特化した究極のゾンダ。しかもゾンダFとの共用パーツは10%しかなく、ほとんどが新開発という力の入れようだ。
エンジンはメルセデスベンツの高性能車開発部門、AMG製の「M120型」6.0リットルV型12気筒。最大出力750ps、最大トルク72.4kgmを発生する。このエンジンはメルセデスベンツ『CLK-GTR』用に開発されたユニットがベースである。
CLK-GTR は1997年にFIA・GT選手権GT1クラスに参戦するために開発されたホモロゲーションモデル。CLK-GTR はデビューするやいなや快進撃を続け、その年のドライバー&コンストラクターの両タイトルを手中に収めた。日本ではあの小室哲哉氏が所有していたことでも有名な、公道を走るレーシングカーである。
ゾンダRでは、この高性能ユニットをミッドシップに搭載、後輪を駆動する。トランスミッションは6速シーケンシャル。ボディやシャシーにはカーボン、アルミ、チタンを使用して、車重はV12を積むスポーツカーとしては異例の1070kgに仕上げられた。ブレーキはブレンボ製のカーボンセラミックだ。
また、ゾンダFに対して、ホイールベースを47mm延長。リアのトレッドも50mm拡大された。エアロダイナミクスも磨き込まれ、とくに超高速域以外でも充分なダウンフォース獲得を狙った。リアの大型ウイングは可変式で、ディフューザーを追加。フロントには大型のリップスポイラーが装着され、全長は394mm伸びている。
この結果、ゾンダRは0 - 100km/h加速2.7秒、最高速350km/hという世界最高峰のパフォーマンスを手に入れた。価格も、146万ユーロ(約1億8000万円)とスーパーだ。ゾンダRの超刺激的なV12サウンドを収録した映像は、動画共有サイトで見ることができる。