1月30日に90周年を迎えたマツダの研究開発部門では、エネルギー効率を格段に上げた次世代パワートレイン「SKY」シリーズの開発が佳境に差し掛かっている。ハイブリッドカーをはじめ電気エネルギー利用技術を苦手としているぶん、パワートレインの高効率化、車体の軽量化で低炭素化のトレンドをキャッチアップしていくというのがマツダの戦略だ。
エンジンの開発は順調とのこと。次世代2リットルガソリン「SKY-G」は、現行の直噴2リットル比で低速トルク15%増、燃費を12 - 15%改善、また2リットルディーゼル「SKY-D」では『アテンザ』搭載時に10・15モード燃費が現行『デミオ』のミラーサイクルエンジンモデル並みという目標設定がなされている。山木勝治副社長は、「現時点でほぼ目標性能を達成できています。回転数によって少しムラがありますが、チューニングで充分対処できる範囲でメドはついています」と自信を示す。
詳細技術は明らかにされていないが、2リットルガソリンはスペックから推測して、欧州で実用化が始まりつつある新世代バルブスロットル制御エンジンの可能性がある。現在のバルブスロットルエンジンが主に吸気バルブのリフト量を変えて吸気量を調整しているのに対し、新世代エンジンは主にバルブの開閉タイミングで調整するというものだ。アテンザ2リットルを『アクセラ』1.5リットル並みにというから、i-stop(アイストップ)との併用でリッター18km台か。
ディーゼルは、低NOx燃焼とDPF(粒子状物質フィルター)の組み合わせで、ディーゼルの高価格化の要因となっているNOx吸蔵還元触媒や尿素選択還元触媒などの後処理装置なしでポスト新長期規制のクリアを実現するという。
こうした次世代エンジンの研究はマツダだけでなく各社がしのぎを削っている分野であり、2011年以降に順次繰り出される「SKY」シリーズが圧倒的な優位性を示せるかどうかは未知数だが、内燃機関のエネルギー効率で世界のトップランナーグループに入れるスペックであることは確か。来年以降の新型車に順次搭載されるというから楽しみだ。