長いデフレのトンネルから抜け出せない日本経済、大手流通のイオンなどが200円台の格安弁当を手がけたかと思えば、牛丼チェーン業界では値下げ競争が再発しつつある。そんななか、都内で200円台弁当を販売する小さな弁当屋さんでは、ちょっとした変化を感じているという。
とある首都高速道路のランプを下りてすぐにある、街道筋に面した某弁当店は、豊富なメニューと250円という“破格”で24時間営業を行なっているが、ここ最近、タクシー運転手が頻繁に訪れるようになったというのだ。
その弁当店にタクシーを横付けし、夜食を手に足早に乗り込む50代と思われる運転手はこう話す。
「ほら、駐車違反の取締りが厳しくなったでしょ。ちょっと前まではラーメン屋とかにササッと入ってパッと食べて出てきても何も問題なかったけど、いまはスグに監視員が寄ってくるからね」
2006年6月から始まった駐車監視員制度によって、タクシードライバーの食事情に変化が見られるようになったと前出の運転手は語る。
「監視員たちが巡回するうえに、この不況でしょ。客は減るわ、クルマからは離れられないわでね。大げさに言うと、ピタッとお店に横付けできて、なおかつ安くて1秒でも早くテイクアウトできるお店が助かる。同僚もみんなこうした店を都内に何件か把握してて、車内で食べてるよ」
複合型施設などに入る大手流通店には、「たとえ安くたって入らないね」とその運転手は言う。
「だって、駐車場に入れるだけで時間がかかるでしょ。まして3階だ4階だなんてグルグルとまわって空いている駐車場を探す時間があるぐらいなら、(営業エリア)流していたほうがいいでしょ」