【MAPPLEnavi2 登場】「8万件の厳選ガイド情報をPNDで活用」…開発者

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キャンバスマップル広瀬浩司氏インタビュー
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昭文社のグループ会社であるキャンバスマップルが開発するPNDアプリ、『MAPPLEnavi』が“2”に進化し、同アプリ採用のユピテル製PND 『YPB505Si』がこの夏に登場した。

昭文社のベストセラー道路地図帳『マップル』同様の見やすさを実現した地図表現に加え、8万件に及ぶガイド情報を収録し、ナビとしての使い勝手をさらに向上。商品企画担当の広瀬浩司氏に進化のポイントについて話を聞いた。

◆昭文社とのタッグでコンテンツを拡充

----:2008年6月リリースの『MAPPLEnavi』が、“2”にバージョンアップしました。開発に当たってのコンセプトについてお聞かせください。

広瀬:“2”の企画は初代が出た直後にスタートしました。2の開発に当たっては、お客様の反響を元に改良するというよりは、「初代をよりMAPPLEらしく進化させる」というポイントが第一にありました。

----:初代で達成できたこと、またやりきれなかった部分とはどういったところでしょう。

広瀬:初代は目的地検索や地図表現、ルート案内の探索といったナビとしての基本機能を水準まで持って行こうというのが開発の目的でした。MAPPLEの紙地図をベースにした地図描画と操作性については、望んでいたレベルを達成できたと思っています。ただ、ガイド情報を初めとした昭文社のコンテンツを十分に活かして切れているか、という点で見ると少々物足りなかったということがありました。

----:MAPPLEnaviは複数のハードウェアに対して提供されていますが、どのハードでもスムーズな描画とスクロールが特徴になっていました。

広瀬:初代ではもともと紙地図の制作をしていたスタッフが開発に参加していました。地図の描き分けや表現はかなり複雑なのですが、“綺麗さ”と“速さ”という点ではいいバランスに落ち着いたと考えています。

----:では、“2”の開発課題として先ほど挙げた「コンテンツの活用」について、教えてください。

広瀬:MAPPLEnaviの開発背景には、「昭文社のコンテンツを活かす」というのが前提としてありました。「地図とガイドブックの昭文社」というキャッチフレーズにもあるように、昭文社にとっては地図だけではなくてガイドブックも誇れる資産です。昭文社のガイド情報は広告コンテンツではありません。独自の取材に基づいて制作されているので、“信頼できる情報”として価値があります。ガイド情報の全てを利用できるのは他のどのカーナビにもない特徴ですから、私たちとしては地図+ナビ+ガイドの三位一体でMAPPLEnaviの世界観を作り、ブランディングしていこうと考えてました。

◆“旅行にこだわったカーナビ”に

----:ガイド情報の導入にあたり、MAPPLEnaviならではのコンセプトはありますか。

広瀬:ひとことで言えば、「旅行にこだわったカーナビ」ですね。これまでのカーナビは「A地点からB地点をどう早くストレスなく移動させるか」という道案内の基本を掘り下げてきました。 VICS渋滞情報や渋滞予測にしても、決まっている目的地へ早く到着することを念頭において作られています。いわば“点から点への移動”をアシストするツールです。一方MAPPLEnaviでは、“点から面への移動”をサポートする道具として、行った先々での見どころだったり、その土地で楽しめるレジャーだったり、いままでのカーナビにないポイントをガイドしようという狙いがあります。

----:ブランド認知におけるハードメーカーとの役割分担はできているのですか。

広瀬:ハードメーカー様にはMAPPLEnaviの機能やコンテンツを評価して選んでいただいていますので、「MAPPLE採用」をアピールポイントとして訴求いただいています。当社グループとしても『MAPPLEのカーナビ』というプロモーションを自社媒体を利用して打ち出しています。これにより、ハードメーカーとソフトメーカー双方でプロモーションの相乗効果を図れるものと考えています。地図やガイドブックを置いている書店などに宣伝のチャネルを持っているのも昭文社の強みです。

----:ではMAPPLEnavi 2の目玉であるガイド情報についてお聞きします。情報の収録件数はどれくらいですか。

広瀬:ユピテル製の新型機種『YPB505si』では、およそ8万件が収録されています。これらはすべて「まっぷるコード」と紐づけられています。まっぷるコードは、昭文社のガイドブックに紹介された施設や店舗に振られている7 - 8桁の番号で、このコードをMAPPLEnaviに打ち込むことでダイレクトに詳細情報を表示でき、目的地として設定も可能です。

----:ガイド情報がつく8万件は今度も増えていくということでしょうか。

広瀬:この数字は、日本全国の数多ある情報から取材に基づいて厳選された8万件です。昭文社の編集者が自信を持っておすすめするスポット情報ですので、闇雲に増やしてくのではなく、その時々のベストスポットを適切なボリュームで提供する方が価値があると考えています。もちろん、価値のなくなったスポットは毎年入れ替えています。

----:実際に使ってみると、本当にガイドブックを読んでいる感じですね。地図にも著名なスポットには3Dアイコンを配置して目立たせているあたりも工夫を感じます。

広瀬:関東や東北といった地域別に出している昭文社の『まっぷるマガジン ベストドライブ』で紹介した196のドライブコースをMAPPLEnavi 2に収録しています。ドライブコースには、それぞれおよそ1日で回れるドライブスポットが入っていまして、このスポットを目的地として設定することができます。

----: ETC装着車高速1000円走り放題がきっかけで、ドライブ旅行に注目が集まっていますから、ドライブガイドの提案はタイムリーです。

◆検索ロジックもチューニング

広瀬:ガイド情報だけでなく、検索機能にもMAPPLEnavi独自の工夫を加えました。検索結果のソートに「おすすめ順」を新設して、ガイド情報のついたスポットが上位に表示されるようにしています。またフリーワード検索では、松島や宮島といった著名な観光スポットをひらがな検索しても、思ったように上位に表示されないナビが多いのですが、MAPPLEnavi2では検索ロジックのチューニングにより、探したいスポットがトップに来るようになっています。

----:おすすめ順表示はスポットの重要度を数値化しているのですか。

広瀬:それと近いことはやっています。また、全ての検索でおすすめ順表示というわけではなく、「周辺検索」の場合では近い順に表示されるなど、検索のシチュエーションによって、表示順を最適化しています。

----:フリーワード検索の使い勝手はいいですね。「行列&駅名」のように検索すると、その駅近辺の行列ができるお店が探せます。

広瀬:フリーワード検索では、地名を入力すると行政区ではなく駅中心のエリアでソートします。地名入力では駅が優先される設定ですので、特定の市区町村内のスポットを探したい場合は「横浜市」のように行政区を入れて絞り込んだほうが便利です。検索の速さにも気を遣い、ヒット件数が多くても瞬時に出るレスポンスを実現しました。

----:ルート案内や経路探索について特徴的なところはありますか。

広瀬:独自に収集している抜け道データも力を入れました。昭文社からさまざまなカーナビメーカーにデータ提供させていただいていますが、PNDで抜け道データを収録しているものはまだありません。また、マップマッチングの精度をより向上させて、ビルの谷間や高架下でもかなり追従するようになっています。ルート探索やリルートのスピードアップも図っています。

----:ナビとしての基本機能もブラッシュアップしたということですね。

広瀬:また細かいところでは、デモ走行では縮尺を広域にするほど移動速度が速くなったり、夜間表示しているときに、高速道路入口やジャンクションのイラストの街灯がほんのり灯っていたり、星があったりと、雰囲気を演出しています。個人的にはかなりこだわったポイントです(笑)。

◆究極は「検索すらさせない」

----:ユピテル製のPNDは薄型でデザインもスタイリッシュですし、今回のYPB505Siにはワンセグやオーディオプレーヤーという機能もあり、持ち運びも便利そうです。YPB505Siの実売は4万円台半ばということで、5万円後半で売られている家電系メーカーのPNDと比べても価格競争力があります。では最後に、MAPPLEnaviが描く理想のナビはどのようなものでしょうか。

広瀬:究極として目指しているのは「検索すらさせないでおすすめスポットを提案する」ということですね。季節や時間帯、シチュエーションを考慮して、ユーザーにとってちょうどいいタイミングと情報量で、おすすめを提案してくれるカーナビが理想の姿です。

----:ナビのコンシェルジュサービスですね。ですが、こうした機能は検索ロジックの改良だけでは解決できません。

広瀬:ですので、コンテンツ自体をしっかり作り込んで行く必要があります。その点、コンテンツとアプリケーションと連携して作り込めるキャンバスマップル/昭文社の持ち味を生かせると思います。

----:ガイド本のつくりも変わっていきそうですね。これまでは本に掲載することだけを念頭に入れていたものを、ナビのオーダーも組み合わせて取材することになります。

広瀬:雑誌や本ではページ数が決まっていますので、載せられる写真や情報量も制限がありますが、PNDのメモリが大容量化すれば、ひとつのスポットに対しての多くの写真や情報を収録でき、より充実したガイドが可能です。大容量化を見据えた機能、コンテンツについては現在仕込み中です。

----:いまカーナビではGoogle Mapsやクチコミサイトとの連携をおこなっているところも出てきていますが、キャンバスマップル/昭文社では自社のコンテンツを行かす方向を突き詰めるということでしょうか。

広瀬:iPhoneでカーナビができたりケータイでスポット検索ができたとしても、ガイドブックは別に購入するように、旅行やドライブのシーンでガイドブックの利便性は高いと考えています。今後、PNDやカーナビはコンテンツで選ばれていくのではないでしょうか。MAPPLEnaviでは標準的なナビ機能をきっちり抑えつつ、厳選されたガイド情報を核としてより魅力的な商品に仕上げていきたいですね。

《聞き手:三浦和也》

《まとめ・構成 北島友和》

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