三菱重工業は、ベトナムの石油化学会社であるペトロベトナム化学肥料総公社の尿素肥料製造プラント向けに二酸化炭素(CO2)回収技術を供与すると発表した。
同社がホーチミン市郊外のフーミーに持つ既設肥料プラントの尿素増産を目的とするもので、EPC(設備一括請負)コントラクターである韓国のサムソン・エンジニアリング社が三菱重工独自の化学プロセス(KM-CDR)を用いて建設する。
CO2回収能力は1日当たり240t。完成は2011年初頭の予定。
今回技術供与するのは、独自の特殊吸収液(KS-1)を用いて天然ガスを燃料とする尿素肥料製造の工程で放出される燃焼排ガスから、CO2を分離・回収してアンモニアと合成、尿素の増産をはかる技術。
具体的には、現在1日あたり1350tのアンモニアと、2200tの尿素を生産するフーミーのガス・電力複合施設内の肥料プラントにCO2回収プラントを追加設置し、回収した純度99%のCO2を活用することで、肥料プラントの年間尿素生産量を約6万t増加させる。
排ガスからのCO2回収率は約9割で、環境保全や省エネルギーにも貢献するとしている。
同社のCO2回収技術は国内・海外で8件のプラント受注・技術供与を行っており、今回が9件目となる。ベトナム向けは初めて。